第22話 嵐の予感
ユウヤの家のリビング。
今日も学校帰りに、あみちゃんが遊びに来ていた。
「ちょっと聞いてる?」
二人でソファに座りテレビを見ている。
私たちが学校を辞めても相変わらず家に来る彼女。
何か喋っているんだけど、全く頭に入ってこない。
多分、学校の事を話しているんだろうなとは思うんだけど。
今朝の事を考えていると、ぼーっとしてくる・・今日はそれの繰り返しで。
「どうしちゃたの、もう~今日のカモちゃん変だよ?」
「好き・・」
「え?」
私は上の空で呟いていた。
「ユウヤ・・私の事好きなんだって」
「何それ本当なの?」
あみちゃんが急に黙り込んだ。
え・・私今何言った?
「ごめん、帰るね・・」
目に涙をいっぱいためて、あみちゃんは俯く。
あみちゃんは、よろよろと立ち上がり出て行った。
****
「わたし安心してた・・だって、カモちゃん恋愛に興味無さそうだったから・・」
わたしは慌てて、裕也の家を飛び出していた。
カモちゃんが興味なくても裕也には関係ない。
そうなんだよね。
実は分かってたんだけど。
だって凄く優しい目で、カモちゃんの事見てたんだもん。
学校にいた時も、カモちゃんが怪我をした時も・・。
気が付かないふりをしてたんだ。
家にちょくちょく来てたのは、二人の邪魔をしたかったから。
わたしがいれば二人きりにはならないからね。
「やば、鞄置いてきた・・」
取りに行きずらいな。
どうしよう。
****
「あみちゃん鞄忘れてった・・」
リビングでカモミールが鞄を抱えてぼーっとしている。
「ん?カモミールどした?ああ、あみ来てたのか。鞄忘れていったの?ドジだな~」
ひょいと俺は、カモミールの手からあみの鞄を受け取った。
「届けてくるよ」
隣の家だし、すぐそこだ。
「あれ?」
玄関を出たら、あみが立っていた。
鞄を忘れたので、取りに来たのだろう。
「ほれ、忘れ物。お前ドジだな~」
いつもみたいに軽く渡そうとしたのだが、あみ・・泣いてる?
「どうしたんだ?何泣いて・・」
あみは俺に抱きついてきた。
鞄が地面に落ちる。
「バカ・・わたしだって裕也の事ずっと好きだったのに・・」
「ごめんな。俺、全然気が付かなくて・・」
ぐいっと顔を引っ張られた。
頬にキスされる。
「私だって好きなんだから・・諦めないもん」
マジか・・。
心臓がバクバクしている。
ずっと友達としか思ってなかったんだけど。
あみから告白はされたけど、俺はカモミールが好きだ。
カモミールも多分、俺の事好きだと思うけど・・。
そういえばちゃんと本人の口から聞いてないな・・不安になってきた。
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