第17話 転校生の髪

学校の昼休み。

教室では、転校生と女子二人男子一人で仲良くお昼ご飯を食べている。

珍しい組み合わせだった。


「なぁ、あの転校生。あんな感じだったっけ?」


オレは友達の鍋島に言った。

弁当の鮭をつついている。


「かもみさんね~。いつの間に女子たちと仲良くなったんだろうね」


「オレが言いたいのはそういう事じゃなくて・・」


オレは平田 明、美術部員だ。

さっきから気になっている転校生、何だか変な気がするのだ。

髪かな?

初日に見た感じと、だいぶ違うような気がするのだが・・。


髪を染めた?

今も黒髪だから、染めるとか意味がないよな。

近眼で眼鏡をかけているが、色には自信があった。

でも違うような・・・。


染めると色が不自然な感じになる。

母親がよく髪を染めていたりする。

学校でも一部の人が、金髪にしているが本物の外人の髪とは全然違う色になる。

写真が無いから何とも言えないんだけど。


「う~ん。気になる」


「平田、かもみちゃんに惚れちゃった?声かけてこようか?」


「鍋島、それは却下で」


あくまでオレの憶測にすぎない。

髪色が違うからって、実際どうでもいい事だろうからな。



****



「松永~ちょっといいか?」


「ん?」


珍しい相手に呼ばれた。

クラスメートの平田だ。

顔見知りの程度で、ほとんど話したことはない。

確か美術部だと聞いたことある。


「松永かもみさんって松永の従妹だっけ?」


「あ、うん。そうだけど」


「変なこと聞くけど、松永さんって最近何か変わったこと無かった?」


「え?」


俺は動揺した。

まさか変装しているのがバレたのか?


「別に、何もないよ?」


「気のせいだとは思うんだが、髪の色とか違う気がして・・変なこと聞いたな。気にしないでくれ」


俺は平静を装った。

顔では笑顔で・・笑顔作れてるかな・・。

引きつっているかもしれない。

嘘をつくのが苦手なんだよね。


「どうしたの?」


カモミールが俺に声をかけてきた。


「何でもないよ・・」


心配をかけまいと、俺は笑顔を顔に張り付けた。



****



「確かに、困ったことが会ったら相談してとは言ったけど。昨日の今日で早くない?」


俺は放課後、竹下先生そうりの所へ来ていた。

職員室から出て、応接室に移動した。

話は念のため、魔法で外に聞こえないようにしてくれているらしい。


「疑っているだけでしょ?大丈夫じゃないの?そのうち魔力も戻るだろうし」


竹下先生は楽観的だった。

カモミールが、魔法使えるようになるといいけど。


「そういえば、先生って何で魔法を使えるんですか?」


「え?聞きたい?大したことじゃないよ。ちょっと異世界に飛ばされてハードな鍛錬をしたっていうか・・まぁクラスの長井くんと同じだよ。そうだ、言ってなかったね。長井くんはしばらく悪さしてこないと思うよ安心して?」


よく分からないが、先生がそう言うのならそうなのだろう。

平田の事は気になるが、長井の事も気にはなっていたので、カモミールに伝えておくかな。


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