第16話 久しぶりの登校

遠慮しがちに教室に入るカモミール。

自信なさげに見える。

魔法が使えないから・・自信を無くしているのだろうか。


「おはようございます」


「あ、カモちゃん学校来たんだ!大丈夫なの?」


「まぁ、何とか・・」


苦笑いをしながら、カモミールはあみに答えていた。

変装?をすることで変身した姿に近い姿になってる。


耳は隠しようが無いので、竹下先生そうりに魔法をかけてもらった。

幻影系の魔法は不得意と言っていたが、耳を短く見せるくらいなら出来るらしい。

カモミールの周りには、あみと玲奈がいて仲良く話をしている。

俺は相変わらず一人だけど。



****



「あれ?」


カモミールが魔法を使って変身していない?

どうしたんだろう。

わざわざ変装をしているようだった。

もしかして魔法を使えないのか?

だとしたらチャンスかもしれない。


ぼくは次はどんな手を使おうかと考えていた。

そもそも、もう魔法が使えないのだから抵抗出来ないだろう。

楽勝すぎる。


「フフフ・・」


楽しすぎて、自然と笑みがこぼれていた。


『随分機嫌が良いようだね』


目の前には竹下先生そうりが立っていた。

始業にはまだ時間がある。

来るのが少し早いな。

どうしたのだろう。


『長井くん、君魔法禁止ね』


「え?」


いつの間にか両腕に、銀色の腕輪がはめられていた。


『これは外せないやつでね。魔力を使えなくするアイテムなんだ』


竹下先生そうりは、俺にだけ聞こえる声で喋っているようだ。

え?え?

全く気配を全く感じなかったぞ?

魔法を使えなくって・・まさか!

試しに手から火魔法を出そうとしたが、発動しない。


『この学校にいる間は付けさせてもらうよ・・かもみちゃんに二度も襲い掛かったんだって?女の子には優しくしなきゃ駄目じゃないか』


目の前の教師は、いつものすっとぼけた奴じゃない。

眼光が鋭く光っていた。

実力を隠していたのか。

ぼくは背筋が寒くなった。


「大人しくしていれば何もしないよ。真面目に卒業してくれ」


キーンコーン

始業の鐘が鳴った。

今日も退屈な日々が始まる・・・。



****



お昼休み・・今日はどうしようかと考えていたら。

カモミールは、俺と一緒に食べたいと言ってきた。

何故かあみも一緒にという事になり、玲奈も。


女子三人と一緒にランチとか。

何だか一生分の運を使っているような気がする。

クラスの人たち(特に男子)の目線が俺に向いている?

そりゃそうか、今まで一人で過ごしていたのに女子三人に囲まれているのだから。


彼女たちは楽しそうに会話している。

俺は自分で作ってきた弁当を、もくもくと食べ始めた。

カモミールの分も俺が作ってきたものだ。

カモミールのお弁当は、豆腐とか野菜などを使ったお弁当だ。

俺の弁当は唐揚げとか、肉多めのお弁当だ。


「ユウヤのお弁当は美味しいです~」


もぐもぐと食べてる、カモミールかわいい。

リスみたい。


「カモちゃんもお弁当作ってみなよ。楽しいから」


あみがカモミールに親しげに話している。

そんな様子を玲奈は、何故か冷めた目で見ている気がした。

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