第14話 恋バナ
「遊びに来たよ~」
学校帰り、あみがよく俺の家に来るようになった。
小学生の頃はよく俺と遊んでいたけど。
大きくなるにつれて、一緒にいることとか無くなってきたんだよな。
あみはカモミールと部屋で何か話をしているらしい。
仲良くなったのは良い事だと思う。
「明日、玲奈連れてきてもいいかな?」
「玲奈、驚かないか?」
「多分大丈夫だと思うよ」
俺の家が女子のたまり場になりつつある。
「てかなんで、お前ん家じゃないんだよ?」
「カモちゃん家に連れていけないじゃん。親にバレるし」
そりゃそうか。
いつのまにかカモちゃん呼ばわりしてるし。
俺より仲良くなってるんじゃないか?
****
「おじゃましま~す」
本当に玲奈が家に来ていた。
例によって、カモミールの部屋に集まっているみたいだけど。
俺は気を使ってオレンジジュースをお盆に入れて運ぶ。
ドアをノックした。
「飲み物とか飲む?ドア開けてくれ」
「え?ありがと悪いわね」
あみはドアを開け、お盆を受け取った。
そのまま目の前でドアを閉められる。
俺、何だか蚊帳の外にいるみたいだ。
何しているのか無性に気になるんだけど。
隣の部屋にいたら、声とか聞こえないかな・・。
ちょっと悲しくなってきた。
**
「あ~びっくりした。まさか飲み物持ってくるとは、アイツにしては気が利いてるわね」
わたしはお盆をそっと床に置いた。
「結構気を使っているんじゃ?部屋に入れなくて良かったの?」
「これ、何ですか?」
カモちゃんがジュースを指さして聞いてきた。
「オレンジジュースよ。甘いから飲んでみて」
カモちゃんはすごく純粋で・・話しをしてみると、とてもいい子だった。
アイツにはもったいないくらいだ。
「魔法使えそう?」
玲奈が聞いた。
「・・わからないです。私、このままでいいんですかね」
「いいのよ。あいつ、お金だけはあるんだから。一人くらい増えたって大したことないわ」
「カモちゃんてさ、アイツの事好きなの?」
「それ聞いちゃう?あみこそハッキリしたほうがいいんじゃない?」
「あみさん・・ユウヤの事好きなんですか?」
逆に聞かれてしまった。
わたしはたちまち顔が赤くなった。
言い訳もできないくらい。
「そう・・だったんですね」
カモちゃんは俯いていた。
そんな表情をさせる気は、さらさらないのに。
「カモちゃんも裕也が好きなのかな?」
「え?私ですか?どうなんでしょう」
嘘をついているようには見えなかった。
もしかして自覚がないだけなのかもしれない。
「好きかは分らないけど、嫌いではないとは思います」
**
「聞こえないな・・」
俺は隣の部屋で、壁に耳を当てて聞き耳を立てていた。
一軒家で、作りがしっかりしているからかほとんど聞こえない。
「こんなとき魔法が使えたら聞こえるのかな・・」
それにしても気になる。
気になり過ぎる。
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