第11話 また休み?

階段を降りてきて、銀髪の髪が見えた。

カモミールが起きてリビングのソファに座っている。


「おはよう~。あれ、熱下がった?」


「ごめん・・学校に行けない・・」


ソファに座っていたカモミールは何故か俯いている。


「どうしたの?」


「朝起きたら、魔法が使えなくなっていて・・」


何回も試してみたようだが、発動しないらしい。


「そんな事、あるんだ・・」


「私も生まれて初めて・・元に戻るのかな・・」


眉間に眉を寄せるカモミール。

今にも泣きそうな顔をしている。

それも当然なのだろう。

今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなったのだから。


「今日も大人しく家にいてね?絶対出かけたりしないでね?」


俺はカモミールに念を押した。

こうでもしないと、出かけてしまいそうな気がする。

それでも、俺は心配で仕方なかった。



****



教室でわたしは、スマホの画面を見ていた。


「はぁ?ノートをとっておいてくれって?」


今、裕也からラインで連絡がきた。


、休む気なのかしら・・」


わたしは思わず呟いてしまった。


「あみ?どうしたの?」


わたしは玲奈に今のメッセージを見せる。


「え・・そうなんだ・・」


わたしを見て、哀れな顔をする玲奈。

何で玲奈がそんな顔をするのよ。


裕也と親戚の子は、どうやら一緒に暮らしているらしい。

かもみの体調が、良くならないのだろう。

何で一緒に暮らしているのよ…。

意味わかんない。

アイツに一言、文句を言ってやりたい。


イライラしていると、前からクラスメートが近づいてきた。

長井ラクトだ。

実は彼とは一度も話したことがない。


「ぼくでよければ手伝いましょうか?」


彼はわたしに微笑みかけた。


「え?」


ノートを取る手伝いをしてくれるのだろうか?

あれ?でも声に出して言ったっけ?


キーンコーン

チャイムが鳴った。


「おーい始めるぞ」


出席簿を持った竹下先生そうりが入ってきた。


「また、後でね」


わたしは長井くんにひとこと言った。


「チッ」


何か長井くんが、舌打ちしたように聞こえたけど気のせいだよね?



****



数分前――。


キナ臭い。

嫌な予感がする。

僕は出席簿を持って、慌てて教室に向かった。

魔法を使うときの気配を感じたからだ。


多分アイツだろう。

長井ラクト。

もう少し大人しくしてくれないかな。

せめて学期が終わるくらいまで。

面倒事は避けたいところだ。

僕が教室のドアを開けたと同時に、チャイムが鳴った。


長井は、中嶋に声をかけているところだったようだ。



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