第45話 新チャレンジが展開!

「でた!でた!でたわよ、社長!」


ルリコによる、お前たちも何か新しいチャレンジをするがいい!企画がでて3日後、スタッフからの回答用紙がかえってきた。


「何がでたのよ、寿賀ちゃん」


寿賀子から一枚の紙を手渡され、びっくり仰天。


「えっ?!」

「靖彦店長、とうとう決めたわ」


なんと、靖彦の新チャレンジは、サッちゃんとの結婚だった!


「口で言わずに、こういうので報告するのがアイツだわー」


「いつ言おうか悩んでたら、社長からのこのお題!これだー!ってなったのね」


2人はにやにやと目を合わせて、親指を立てた。


その日、ランチの繁忙も過ぎた頃、2人はサッ

ちゃんを呼び出し、今後のことを聞いた。


結婚式はあげるの?

結婚後も今まで通り働く?それとも短縮してもいいのよ

その他、要望があるならなんでも言って


サッちゃんは恥じらいながら、今まで通り頑張りますと、蚊の鳴くような声で言った。


「まあ、サッちゃん。そうは言ってもなかなか大変になるかも知れないから、その都度私か寿賀子さんに相談するようにね。黙ってたらダメだよ」


「はい、ありがとうございます」


サッちゃんはふっくらした頬を、桃のように染めてお辞儀をして出て行った。


いやー

いやー


かわいいね

ほんとに


いいのかね、靖彦で

それだよ


「アイくんの見立て通りだったなぁー」


「私も最初アイくんに言われた時、信じなかったもの」


常に本物か偽物か、土壌の年代まで調べて見極める仕事をしている夫の慧眼に、ルリコは深く感じ入った。


「運命の輪で、宴会をやるしかあるまい」


「ですね。ねえ、サオリちゃんに頼もうよ!」


「それはナイス!」


「早速打ち合わせてくるわ」


この2人の相談から2日後、通常通り営業を終えた運命の輪で、大宴会が催された。


何も聞かされていない靖彦とサッちゃんは、呆然としてテーブルに座らされ、サオリとスタッフ数名による大ご馳走を眺めていた。


休みのスタッフも、来られる者は来るように通知され、全員が2人の結婚を祝った。


5分もしないうちに、靖彦もサッちゃんも泣きだし、みんな大笑いしてクラッカーを鳴らした。


こりゃ珍しい、明日は雪だな!


古参の料理長が言うと、全員大笑いだった。


最後には、辿々しいながらもお礼の言葉を述べる靖彦に、割れんばかりの拍手が送られて、この時ばかりはルリコも寿賀子もボロボロ泣いてしまった。


サッちゃんは、涙を拭きながら、全ての料理を食べ、サオリの手を取って頭を下げた。


全部美味しかったです!サオリさん、ありがとうございました。一生懸命忘れません。


力いっぱいサッちゃんを抱きしめたサオリも、涙でぐしゃぐしゃだった。


「さあ!店長とサッちゃんは、もうお帰り!我々はこれを15分で片付けるよ!」


寿賀子の号令にハーイ!ハーイ!と声が上がる。


ルリコは2人を見送り、追い払うように手を振った。


「明日ねー!」


「ハーイ!」


「ありがとうございました、社長!」


深々とお辞儀をするサッちゃん。

早く行こうと肩を抱く靖彦。


また泣いてしまいそうになるので、ルリコはドアを閉めた。


新チャレンジ最高。




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