第40話 食卓
「お義母さん、アレもう一度おしえてください」
レオナちゃんがヤス子に、炊き込みご飯の作り方を訊いていた。
「うまくいかなかったの?」
「不味くはないんですけど…美味しくもないって言うか…」
あははは、じゃあもう一回やろう。
(かわいい嫁だね、ほんとに)
ヤス子はシンガポール旅行の帰りに捻挫した日のことを、たまに思い出す。
痛くて立ち上がれなかったところを、助けてくれたのがレオナちゃんとルリコの2人連れだった。
あーあ、足やっちゃったよ、と思ってたら、その後ケンイチとこの子が一緒になるなんてね。
「レオナちゃん、この具材炒めたところに、醤油と酒あわせるとき、砂糖入れるの忘れてないかい?」
「入れたんですけどね。あっ、そんなに入れるんですね?量が少ないのかもしれません」
「それだ!結構濃いめに味付けないと、米と炊いた時薄まるんだよ」
「なるほど!そこでしたね。今度はできそうです」
ケンちゃんとレオナちゃんは10日にいっぺんくらい、実家で夕飯を食べる。
明日行きまーす、とレオナちゃんから電話が来る。
ご飯の後は、京子の子供たちとゲーム大会である。
「お義母さん、これご飯の後に食べましょう」
レオナちゃんがとらやを差し出した。
「なによー、すごいじゃない。どしたの?」
レオナちゃんが吉富さんのことを話すと、そうだったのかい、とヤス子は笑った。
「なんだっていいよね、みんなが幸せに暮らせるのが一番だぁ。康太くん、よかったなあ」
「おお、とらやの羊羹じゃねえか」
お父ちゃんがにゅっと首を出した。
「ご飯の後に食べようって、レオナちゃんが持ってきてくれたの」
「ごちそうさん!楽しみだな」
「お義父さん、お風呂沸いてますよ」
おお!サンキューと武雄は答えて、お風呂に消えた。
「うちのお父さんも幸せだこと」
「私も幸せです」
「いや、私がいちばんの幸せもんだよ、レオナちゃん。ありがとね」
栗林家の食卓は今日も完璧であった。
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