第20話 京子姉ちゃんと岩盤浴

「レオナちゃん、パラデイザ行こうよ」


京子から誘われたレオナちゃんは、早速予約を入れたのである。


お姉ちゃんの命令は絶対なのである。


京子は二人の子持ちだが、とっくに手が離れた(ほんとは8才くらいから離れていた)大学生と高校生なので、しょっちゅう実家に来る。


レオナちゃんが嫁にきてからは尚更だ。


ケンちゃんとレオナちゃんの住まいの下が飲食店なのを、とてもいい!と羨ましがっていた。


いいなー、ケン。オシャレな家だし、下には店があってさ。自分ち帰るとすっかり落ち込むわー。


姉ちゃんの旦那さん大金持ちなんだから、建ててもらえよ。


ダメダメ!あの世まで金持って行く気だよ、あの人は。


「ぷっ!」


「はははー、面白いですねぇ」


「全然面白くないよ、レオナちゃん。あたしがうまいこと、わかんないようにヘソクリして、家族旅行とか行ってんだから。わけわかんねえべ?」


「お姉さんが払う分にはいいんですか?」


「そうなの、変でしょ?あたし働いてねぇのよ?自分の金よ?でもあたしから出るのはいいんだ」


一呼吸おいて、3人で爆笑。


「楽しそうだこと」


お母ちゃんが湯呑みを4つお盆に乗せてきた。


あ、お義母さん、お茶!やらせてしまってすみません。


いいんだよ、レオナちゃん。京子と岩盤浴行くんだろ?ごめんよ付き合わせて。


いいじゃないのー、たまにはー。姉妹でお出かけもさ。


京子、あんたが出すんだべ?


もちろんだよー。


お義姉さん、ケンイチさんから預かりましたので大丈夫です。


そう?ケン、ありがと♡


まったく…


と言いながら、お母ちゃんはニコニコしている。レオナちゃんもニコニコしている。


この子がうちに来てくれてよかったな。あのときシンガポールに行ったのも、神様のお導きだったんだなー、とお母ちゃんはしみじみ思った。


「うわー、ステキな岩盤浴♡さすがルリコさんだね」


京子はパラデイザに入るなり喜んだ。そして、離婚しようと思ってるんだよ、あたし、と言った。


「えっ?」


「り・こ・ん」


石のように固まるレオナちゃんに笑いかけ、京子はゴロンと横になった。






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