第6話 ケンちゃんヨガをする

月に2回、レオナちゃんはヨガに行く。


もちろんケンちゃんが街まで送っていく。車は白いメルセデスだ。あと、軽トラを持っている。


「緊張すんなー。俺なんか行っていいのかな」


「ルリコさんが来てって言ってたし、待ってる間暇じゃないですか。無理にやらなくてもいいし、できないときは休んでていいんですよ」


と、不安の色を隠さなかったケンちゃんだったが、ヨガに参加してみたら、

「すっげー楽しい♡気持ちいいー!」

となっていた。


ケンちゃん初めてなのにすごーい!

ケンちゃんマッチョでカッコイイ!

ケンちゃん優しい!

ケンちゃんまた来てね!


ちょっとやるだけで、サークルの皆さんからめちゃくちゃ褒められて、とにかく嬉しいケンちゃんだった。


「レオナちゃんのお母さん、すごいな。うちのお母ちゃんがやったら、確実に骨折だっぺな」


「そんなことないですよ。お義母さんもやったらできますよ」


「先生も優しくて教えるの上手だよな。同じ京子でもエライ違いだわ」


「京子お姉さんもヨガやってますよ。もう5年くらいやってるって、この前聞きました」


「え?マジ?俺知らなかったわー」


とにかくケンちゃんは、こんなに褒められたことは記憶になく、嬉しくて、ランチをみんなにご馳走したのだ。


そんなの悪いからいいよおー、というみんなを、いいじゃないの、ケンちゃんのご好意に甘えましょとルリコが言い、7人分払った。


「楽しかったなぁー」


「また行きましょう、次は再来週です」


「カッコいいジャージ欲しいなぁ」


「明日、見に行きましょう♡」


「レオナちゃん、なんか買ってやっから。指輪でもどう?」


「要らないです。ゲーム買ってください」


「はいよー、なんぼでも買いな」


ケンちゃんは生まれてきてよかった。


こんなに毎日楽しいのは、初めてだー。レオナちゃんのおかげだー。


夕飯は鰻でも行くか、と思いながら帰途についた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る