第136話 俺の脇の甘さが招いた結果


 そして、もうコイツの相手をしているのも時間の無駄だと思った俺はそのままこの場から立ち去ろうとしたその時、フィリアが聞き捨てならない事を言うではないか。


「俺の秘密……だと?」

「あぁ、そうだ。実は私はルーカス様とゴミ……ルドルフとの決闘の時、私もそこにいたんだ……っ!」


 そう言い切るフィリアの目を見てみるが、どうやら嘘を言っているようには思えない。


 あの時は確かに周囲に誰もいない事を確認したうえで誰も入って来ないように結界も張っていたのだが、恐らくフィリアは俺の探索能力または結界をすり抜ける事ができる何らかの能力を持っていたのであろう。


 正直な話、これに関してはこの世界の住民を舐め腐っていた俺の落ち度と言えよう。


 前世であれば探索や結界をすり抜ける能力は皆持っていると仮定して行動しており、今回もそれを想定して視界を遮る結界や温度探索や魔力探索など様々な方法で誰もいない事、また見られないようにする方法をして保険をかけておくべきであったのだ。


 しかしながら既に起きてしまった事を今さら後悔しても仕方がない。


 今回に関しては逆に、いくら相手が格下であろうとも手を抜くと今回のようにいつか足元をすくわれるだろう。そして次回は今回と違い取り返しのつかないミスであるかもしれないと、今までの危機感の低さを改めるいい切っ掛けであったと考えをシフトしていくしかないだろう。


 そして俺は深いため息を吐いた後、フィリアを俺の婚約者件奴隷にする事に決める。


 見られてしまった以上こうするしか選択肢は初めから無かったと思えばあきらめもつくというものだ。


 それに、初めから婚姻相手は奴隷にするつもりであったし、その一番のネックである奴隷になる事を自ら志願してくれているという点で考えれば、将来的にその面倒事が無くなったと思えばデメリットばかりでも無いだろう。


 おそらく、そのメリットよりもデメリットの方が大きいような気がしないでもないのだが、それに関しては俺の脇の甘さが招いた結果として受け入れるしか無いだろう。


「……婚約と、奴隷契約だな…………」

「やっと折れてくれたかっ。自分で言うのもなんだが一応私は男性からみるとかなり美女な部類に入るようでな、婚約の申し出も結構多いのだぞ? そんな女性を奴隷にできるという絶好のチャンスで何故そこまで渋るのか……。しかし、今は奴隷兼婚約者にしてくれるのならばそれで良いだろうっ! さぁ早くこの私をルーカス様の奴隷にしてくれっ!!」

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