「という訳なので、申し訳ないが君を俺の婚約者として迎え入れたくないんだ。例えそのせいで両家間にシコリが残ってしまったとしても、それは俺の意思を無視して話を勧めた親同士の落ち度だろう。確かに俺は貴族の息子で、しかも嫡男である以上政略結婚を受け入れるべきであると言われてしまうかも知れないのだが、もし今回の事で君の両親からあれやこれやと言われた場合『妻一人俺の好きな女性を選ぶ事ができずに、貴族としてこの先やっていけるのか？』と、貴族としてというのであれば逆に聞き返してやりたいくらいだなっ」

　とりあえず、勝手に決めたのだから俺が断るリスクくらい考えての判断だろう？　という方向で断り、もし何か文句を言われたとしても自分の妻は自分で決めたいとでも言えば良いだろう。

　その後に起こるであろういざこざに関しては正直言って勝手に親同士でしてくれと思う。

「なるほど確かに……でも、それでも私は旦那様の奴隷になりたいと、今心の底からそう思うのだが、この滾る心はどうしてくれよう？」

　そう俺がフィリアへ断ると、何故か一度聞いた言葉のような返事が返ってくるではないか。

「…………俺の話を聞いていたのか？　というか、何故二度同じ言葉を言った？」

「それでも私は旦那様の奴隷になりたいと、今心の底からそう思うのだが、この滾る心はどうしてくれようっ！？　と申しているのだっ！！」

「いや、知らねぇよ……。俺じゃない誰か別の男性を寄生先として見つければ良いのではないか？」

　そもそも何故今まであまり接点のなかった俺なのだろうか？

　他にフィリアに合った良い男など他にもいくらでもいるではないか。

「お前以外に私よりも強い男性貴族が居なかったのだから仕方なかろうっ！！　しかも、私の年齢も年齢なので両親からの圧力が日に日にキツクなって来ておるのだっ！！　もしこの学園の在学中に婚約を見つけ出す事ができなければ、親が結婚相手を見つけ出すと言い出す始末なのだっ！！　それは爵位だけは良いだけのオッサン変態貴族の後妻にされるかも知れぬのだぞっ！？」

　正直な話しだから何だという話であるし、ぶっちゃけ自ら変態になりたいなどとほざいている変態なのだから、この場合は変態同士仲良くなれそうではないか？　とは思うもののそれを言うと話が長くなりそうなのでグッと我慢する。

「まぁ、それもまた人生という事で……」

「言いふらしてやろう……っ。もし私との婚約を断った場合ルーカス様の秘密を言いふらしてやろうではないかっ！！」

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