第127話 どういうつもりだ?



 しかも彼女達が拾ってきた野良奴隷達は全員体のどこかが明らかに人間ではない形をしているではないか。


 ある者は腕がまるで爬虫類のような腕を、ある者は背中にドラゴンのような翼が、ある者は足が肉食獣のような足になっている者など、その光景から彼女達が潰して来たという組織は恐らく人を攫って来ては様々な実験を、奴隷達を使い行ってきたのだろう。


 当然そんな事をして大丈夫な訳がなく、それを知っているからこそ安全性を試す為に実験しているわけで、奴隷達の中には瀕死の者や身体が腐りかけている者、既に壊死してしまっている者や人の身体を維持する事すら出来ずに溶け始めている者まで、身体の姿かたちは勿論、健康状態も様々である。


 そして一人一人症状を見ていてはその間に死んでしまう者も出てくるだろうから、俺は一旦範囲回復系の魔術で奴隷全員を回復させると、ストレージからマリエルを呼び寄せる。


「お呼びでしょうか? マイマスター」

「すまないがこの者たちに適切な処置をしてくれ。必要なアイテムなどがあれば、言ってくれれば用意はするから頼んだぞ」

「かしこまりました。マイマスター」


 ここへ運ばれて来た奴隷達は恐怖と畏怖で俺の事を見つめていたが、その瞳の奥にほんの小さな希望をこの俺に託している事に気付いてしまっては、流石に奴隷達をそのまま敷地の外へと放り投げるのは流石の俺でも良心が痛むし、サシャもリリアナも俺の事を頼って奴隷達をここへ連れてきたのであれば彼女達の思いを叶えてやるのが奴隷の主人というものだろう。


 そしてマリエルの人工知能によって適切な治療を一人一人施され、なんとか全員命の危機から脱する事は出来たようでホッと胸を撫で下す。


 流石に人の者ではなくなった身体の部位を元に戻すという事までは出来なかったのだが、生きてさえいれば後は本人次第だろう。


 そんな事を思っていると、治療を終えた奴隷達が俺の前で跪き、頭を垂れるではないか。


「……いったい、どういうつもりだ?」


 とりあえず奴隷達の意図はなんとなく理解はできるのだが『おそらくそうだろう』『きっとこうにちがいない』で動いて来た結果が前世で仲間に刺されたわけで、憶測で行動するのではなくしっかりと奴隷達の意思を確認する。


「あ、あの……私たちはこんな姿にされては帰る場所も無ければ生きていく場所も探すことが難しく、せっかく治療していただいたにも関わらず餓えて死ぬか、万が一帰る場所があり家族などに受け入れられたとしても食料などの面で重荷になってしまいます」

「…………」

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