第125話 規格外という言葉が似合う


 何でこんな小娘ごときに私がやられなければならないのだっ!? 


 そもそもこの小娘たちの繰り出す技の数々は今までの人生様々な者達と戦ってきた中で一度も見た事も無ければ、その威力はけた外れに高威力ではないか。


 このドラゴンの鱗と肉体を簡単に貫き、切り落とす……そんな攻撃をたかがノーマン一人が繰り出していい攻撃の筈がない。


 しかも、見る限り彼女達からはデメリットというデメリットも無いように見えるではないか。


 そしてその小娘二人は私の前まで歩いて使づいてくるのだが、この私を前にしてこの小娘たちはまるで『これから羽虫を潰す』程度にしかおもっていないかの如く雑談を交えながら近づていくるではないか。


 少し前の私であればこのような態度を小娘ごときにされると、怒から爪で切り裂いたり尻尾で潰したりこの咢で噛み潰したりしたのだろうが、今は『また切り落とされたり金属を撃ち込まれたりするのではないか?』と思ってしまい、恐怖で動けなくなっている自分に気付いてしまう。


 そして、たかが小娘ごときに恐怖して動けなくなっている自分自身に怒りが沸き起こり、そんな自分を否定するかの如く私は身体を回転させて尻尾で小娘二人を叩き飛ばそうとする。


 しかしながら、私の予想していた悪い想像通り、私の尻尾は右腕同様にまたもや切り落とされてしまうではないか。


 今回はどうやって切り落とされるのかしっかりと確認する為に相手を観察していたのだが、まるで羽虫を手で払うかの如く獣人の娘が、右腕に装着している狼の腕のような形をした金属製の魔道具を軽く振るだけで、私の尻尾はいとも簡単に切り落とされてしまう。


 その軽い感じからしても私の身体を切り落とすのに彼女の攻撃は何のデメリットすら無いのだろう。


 まさに規格外という言葉が似合う。


「何故……何故そんな力を持っていてして帝国の犬に成り下がっているのよっ!! 貴方達ほどの規格外の力を持っているのならばこの帝国を潰す事も、言いなりにならずに自由に生きる事も出来たはずよっ!! なのに何でっ!!」

「あなたの過去についてはある程度この組織について調べるにあたり壮絶な人生を送って来た事を知ったのだけれども、結局あなた自身も今現在あなたが憎んだ貴族と同等、いやそれ以上に最低な行為をしている以上同情の余地も無いわね。そもそも国が一つの貴族の為に動くなどあり得ないでしょう? まぁ確かにあなたの家の為に動くのではなくて、不正をしている貴族を取り締まる為に動く事はできたという風に視点を変えればあなたが帝国を恨む気持ちも分からないでもないけれども、ならば何故そのように帝国を動かすだけの行動を起こさなかったのかしら?」

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