第123話 説教を垂れてくる
そういう自分の実力と相手の実力の差すら理解できずに、自分達の方が強いと勘違いして偉ぶっている奴らに分からせてあげるのも、力ある者のある種の特権的な楽しみ方なのだろう。
そう思い私はまずドラゴンブレスを手始めにお見舞いしてやることにする。
普通の帝国の騎士レベルであればこのドラゴンブレスを一発喰らうだけで消し炭になるだろうが、この二人レベルであれば死ぬ事はないだろう。
そのかわり致命傷の火傷を負う可能性はあるのだが、それでも生きてさえいれば後は私が考えたオリジナル魔術でどうにかなるだろう。
その場合は想像を絶する多幸感や快感を同時に味えるので、相手にとっても幸せな事だろう。
「こんな狭い空間でドラゴンブレスを放とうとするなど、いくらバカとはいえ流石に頭が悪すぎるのではないかしら? 危ないのでその口は閉じさせていただきますわね」
そんな事を思いながらブレスを放とうとしたその瞬間、開け放たれた私の口は、いつの間にか相手が出現させた見た事も無い武器により放たれた金属の棒が顎の下から突き刺さると同時にその勢いで口を閉じてしまうではないか。
ヤバいと思いすぐさま口を開けようとするも刺さった金属の棒によって開ける事もできない。
「あ……ぐぅ……っ!!」
そして力づくでも口を開けようとするも、結局口を開ける事は出来ず、本来であれば放たれるはずであったブレスのエネルギーは私の口と喉でとどまり、行き場を無くした末にその場で爆発を起こす。
「アギャァァァァアァアッ!!!!!!!」
その威力は凄まじく、金属の棒が刺さった口はそのままぱっくりと縦に裂け、喉と顎下には大穴があいてしまう。
「オーーーーーーーーッ!」
そのせいで舌も無くなってしまい、喋ることができなくなってしまっていた。
「弱い癖にわたくし達よりも強いと勘違いして、調子に乗るからそうなるのですわ」
「どうせドラゴンの力を手に入れてしまったせいで、調子に乗ってしまったのね。その気持ちは分かるし私たちも同じように、もしかしたらなっていたのかもしれないけれども、あなたと私達にはご主人様が居たお陰で自惚れる事も無くここまで強くなることができたという違いは大きかったようね」
そして目の前の二人は帝国の犬であろうにも関わらずこの私を見下し、上から目線で説教を垂れてくるではないか。
正直言うと、ドラゴンの身体を、しかもこれ程の傷を並の回復魔術では治す事などできない為、私オリジナル魔術である回復魔術を行使しようか迷っていたのだが、小娘如きにみくだされているという怒りからオリジナル魔術の回復魔術によるデメリットなど頭から消え去り、気が付いたらその回復魔術を行使していた。
────────────────────────────────────────
126~128話 サポーター限定で更新いたしました
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます