第118話 帝国に捌いてもらう為
「流石に貴様と言えども儂の編み出したこのオリジナル魔術を防ぎきる事など不可能……はへ? あがぺっ!?」
すると恐らく炎魔術だとは思うのだけども、エドワーの放った魔術を蹴散らしながら、わたくしの放った魔術を諸に喰らい、部屋の奥まで吹き飛んでいく。
八九式15㎝カノン砲型の武器を出現できるくらいにはそこそこ拾い部屋なのだが、その部屋の端まで吹き飛んでいった所から見てもかなりの衝撃で会った事は間違いないだろう。
まぁ、かなりの防御力を誇ると言われている魔獣ストーンタートルの甲羅を一撃で粉砕できるだけの威力があるのでエドワーの魔術を蹴散らした分多少は威力が落ちるとしても、あれをまともに喰らってはいくらエドワーと言えどもただでは済まないだろう。
むしろあれを喰らっても無傷でいたのならば流石、腐っても宮廷魔術師だなと見直しても良いだろう。
「あ…………あぐ……っ」
しかし、やはり帝国の宮廷魔術師長であるエドワーと言えども至近距離で八九式15㎝カノン砲型から撃ち放たれた魔弾を防ぎきることができなかったのか、たった一撃で胴から下が弾け飛び、上半身が壁にめり込んだ状態で呻いている姿が目に入る。
「あら、上半身だけと言えども身体の原型を残すだけでなくしっかりと生きているのは流石帝国の宮廷魔術師長様と言ったところですわね」
そんな瀕死の状態であるエドワーに向かってわたくしは『ぱちぱち』と軽く拍手しながら近づき、称賛してやる。
ちなみにこれは煽っているとかではなく純粋に凄いと思って出た素直な言葉である。
「……ば、ばけもの……めが。過ぎたる力は自身を滅ぼすぞ……っ」
「それって自己紹介かしら? でも安心していただいて大丈夫ですわ。わたくしはあなたと違って今のところ狂っておりませんわ。それに、万が一わたくしが力に溺れて狂ってしまったとしても、わたくしのご主人様が止めてくださり、正気に戻してくださりますもの」
そしてわたくしはそう言いながら回復系の魔弾を転送した小型の銃を出現させるとエドワーに向かって撃ち、致命傷である傷を癒してやる。
とはいっても流石に失った下半身までは再生できることは不可能なのだが、生きてさえいれば問題ないので死なない程度に傷が癒えれば十分だろう。
「おぉ……この儂の傷を癒してくれるのか……っ」
「何を勘違いしているのか分からないのだけれども、あなたの為に傷を回復させているのではなく生き証人として帝国に突き出し、帝国に捌いてもらう為ですわ」
とりあえず国賊レベルの大罪人になる事は間違いないので、コイツを証拠と共にギルドへ突き出せばかなりの額の報奨金を稼ぐ事ができるだろう。
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