第117話 はっきりってキモすぎる

 


 すると目の前の老いぼれた老人であるエドワーは、目をかっぴらき、唾を飛ばしながらわたくしの【拳銃式自動魔力転送媒体器】をべたべたと触り始めるではないか。


 ちなみに今回出した形は、両肩部分に八九式15㎝カノン砲型を模して造られた物を、腰の両側には九六式15㎝榴弾砲を模して造られた物を装着した装甲型スーツへと起動させたのだが、それを見たエドワーがはっきりってキモすぎる。


「はぁはぁ、こ、これは一体どういう魔術具なのじゃっ!? 知らぬっ! 知らぬ知らぬ知らぬ知らぬ知らぬっ!! 全て儂の知らぬ魔道具じゃっ!! そもそもお主は魔力はあれど魔術はトーチ程度しか行使できる身体ではなかったからこそゴールド家から勘当された筈じゃっ!! それは、言い換えれば魔道具も攻撃用の魔道具は行使できなかった筈っ!! いったいどのような仕組みでお主の中にある魔術を使えるようにしたのじゃっ!! いや、そんな事は後じゃっ!! まずはその魔道具について教えてはくれぬかっ!!」


 そしてエドワーは興奮しながらこの【拳銃式自動魔力転送媒体器】で出した武器について教えてくれと迫ってくるのだが起動するときに変形させる武器の名前と効果などを確認して選んでいるのだが、はっきり言って私も分からないので答えようが無いし、出現させた武器ならばこれがどういう攻撃をするのかくらいはエドワーの死に際にでも教えてやらぬことも無いのだけれども、魔道具については例え詳しい仕組みを知っていたとしても話すつもりは毛頭ない。


「え? 敵に対して自分の使っている武器の仕組みを教える訳がありませんわ……っ」

「がふっ!?」


 というかそれ以上に【拳銃式自動魔力転送媒体器】を今にも舐め回しそうなエドワーが普通に、精神的に受け付けられない私は、腰右側に出現させたカノン砲に抱き着いているエドワーを蹴飛ばして剥がす。


 なんだろう、石をひっくり返した時に虫がびっしりといた時の感覚に似ているくらいに気持ち悪い……。


「うぐぐぐ……き、貴様……っ!! この儂を誰だと思っておるっ!! 帝国宮廷魔術師の長であるぞっ!! その儂に向かって蹴り飛ばすなどっ!! こちらが下手に出ている事を良い事に……っ!! もうよいっ!! 貴様を殺して身体とその魔道具についてじっくりと調べて行けばよいじゃろうっ!! 恨むならばこの儂を無下にして怒らせた自分自身を恨むんじゃなっ!!」


 そして、エドワーは激昂しながら何かしらの魔術を無詠唱でわたくしに向かって攻撃してきたので、わたくしも両肩に付いている八九式15㎝カノン砲型をエドワーに向かってぶっ放してやる。

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