第112話 ゴミみたいな魔術


 私の煽りが面白いくらいに効きまくっているなと思い、相手の言葉を聞いていると、この私に向かってこの裏組織である【粛清する影】とっておきの魔術を見せてくれるようである。


 しかし、裏組織である【粛清する影】とっておきの魔術を見せてくれるのは良いのだけれども、私は一つだけ疑問に思った事を相手に聞いてみる事にする。


「その、あなたたち組織とっておきの魔術をわざわざ私に行使するのはいいけれども、だとしたらわざわざそんな醜い姿にならなくてもノーマンの姿で良かったんじゃないの?」


 そう、結局魔術で攻撃をするのであればわざわざあんな醜い姿になる必要などなかったのではないか? という事である。


 どう考えても意味が無いように思えて仕方がないのだが、わざわざ命を消費してまであんな醜い姿になったのだから何かしら理由がある筈だとは思うのだけれども、しかしながらその理由が分からないので私は素直に聞く事にしたのである。


 やはり分からない時は自分で考えるよりも、答えをしっている人が近くにいるのであればその人に聞くのが一番手っ取り早いし無駄な時間をかつ、費やす必要がないのでまさに一石二鳥であろう。


 だというのにそこに変なプライドで聞かないような人物は、素直に聞ける者と比べて成長する速度は全く違ってくるだろう。


 強くなる為ならばそんな『敵に聞くのはダサい』などというくだらないプライドは、私はいらないと思っている。


「…………馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!」


 そして相手は、私の質問に対して答えてくれるのではなく、怒りを爆発して激昂しながらとっておきの魔術とやらを行使し始めるではないか。


「……あぁ、とっておきの魔術を行使するのにあたってわざわざ命を削ってまでその姿になる必要が無かったという事なのね。ホント、あなたは自分のその肥大したプライドに自分自身を喰われてしまった哀れな存在よね……。しかも、こんなつまらない魔術をとっておきだと思っているあたり、可哀想でもあるわね……」


 いったいどんなとっておきの魔術を行使するのかしらと思って少しばかり期待して待っていたのだけれども、結局相手は身体が崩れて死んでいくだけの貴重な時間を費やしてまで行使した魔術が、呪いが付与された紫色をしている魔術なのだけれども、ご主人様から頂いた護符によって弾かれてしまう程度の、ゴミみたいな魔術であった。


「確かにこの世界の魔術と比べると呪いも付与されている分多少は強いのかもしれないのだけれども、私からすればゴミみたいな魔術にあなたは残り少ない時間を無駄に使ってしまった可哀そうな人……」



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114~116話 サポーター限定で更新いたしました

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