第108話 頭を脳みそごと潰すわよ?
私がなんでこの程度の魔術を切り札と思ったのか分からないのだが、ここで私は良い遊びを思い出す。
「あ? 流石にハッタリは通用しないぞ、嬢ちゃん」
「そもそも私は魔術よりも体術の方が得意なので、そういう点では『魔術としての切り札』という意味ではある意味正しいのかも知れないのだけれども、それでも流石に対処されづらいというだけで段位三程度の魔術を切り札になるレベルで帝国裏社会の組織である一つに喧嘩を売ろうなどとは思わないわね。けれども、私は結構天邪鬼なところや負けず嫌いなところがあるの。だからあなたの考えが正しかろうが間違っていようが単純に首を縦に振りたくないのよね。特にあなたのようなゴミのような、かつ可哀そうな人間相手には…………他人の話は最後まで聞きなさいと親から言われなかったのかしら?」
「アギャァァァァアァアッ!!」
とりあえず私は目の前にいるバカにこれから何をするのか説明していたのだが、その間に相手は恐らく自分の中の怒りの感情をコントロールできなかったのだろう。その感情のまま片手剣で攻撃してきたので、拳で返してやると相手が刺突してきた片手剣が砕け散り、そのままの勢いで相手の右腕が肘まで折れてしまう。
感情を制御できずに行動に移してしまう奴は畜生や魔物たちと何が違うというのか。
しかしながら一発殴っただけで粉々に砕けてしまう程の脆い剣など私は怖くて使いたくないのだが、恐らく知能も無ければ武器を目利きできるだけの目も無いのだろう。
どうやら『竜の牙で作った特注品だぞっ!?』と喚きながら痛みで地面を転がっているのだが、まんまと騙されたのだろう。
「静かにしないと、今度はその頭を脳みそごと潰すわよ?」
とりあえず目の前のバカは腕が折れた痛みでじたばたと転がっており、待てど静かになる気配が無かったので『静かにしないと頭を潰す』と言ってあげると、ちゃんと静かにしてくれたので、人の言葉を理解できるだけの最低限の知能はあるようだ。
「フー……ッ。フー……ッ。うぐ……っ」
「うん、静かになったようで何よりだわ。それで私が言いかけた事だけど、あなたみたいなゴミの言葉に対して合ってようが間違ってようが首を縦に振るのが嫌なのよね。 まぁあなたの推測は間違っているのだけれども、だからといって『間違っているからその証拠として本気を見せてあげる』とかしたくないのよ……。だからここから先あなたがバカにした【鎌鼬】の魔術だけで殺してあげるわ。それに、元とはいえSランク冒険者が段位三程度の魔術で倒されるというのもなかなか面白そうだと思わないかしら?」
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