第104話 最悪夜這いをすれば良いだけですわ


 そして新たに私が作ったオリジナル回復魔術改の効果なのだが、ゴミクズの父親同様に白目を剥いて泡を吹き出したかと思うと全身を弓なりに反ったかと思うと、痙攣し始めるではないか。


 一応回復魔術ではある為私が拷問で傷つけた個所は物凄い勢いで回復していくのだが、その代償はかなりの物であるようだ。


 ゴミクズの父親はまだ何とかなりそうな雰囲気ではあったものの、ゴミクズに関しては『外傷が治ったとしても脳が焼かれてもう元には戻らない』と一目で分かるほどには失敗作であると言えよう。


 しかしながらこの失敗のお陰で改良する個所もなんとなく見えて来た上に、逆にこの技術を応用して『中毒性のかなり高いポーション』を製造できるかもしれないと思うと、ゴミクズはかなりいい仕事をしてくれたと言えよう。


 そして私は残りの拷問対象を、ゴミクズやその父親にしたのと同じように拷問と実験、生贄にして消費していくのであった。



◆サシャside



 ご主人様は過保護であると思う。


 確かに私はご主人様よりも弱いのだけれども、ご主人様には勝てないだけで、はっきり言ってこの帝国では私より強い者はいないと断言できる。


 いるとすれば今私の隣にいるリリアナくらいであろう。


 そんな私たち二人は考えた。


 どうすればご主人様の信頼を得る事ができるのだろうかと。


 そして考えた結果、帝国に蔓延る裏の組織一つを潰せば過保護、というか子ども扱いを辞めて異性として見てもらえるのかもしれないという一つの答えにたどり着いた。


 思い立ったら吉日という訳でこの案を早速リリアナと一緒にご主人様へと許可を取りに行くと、初めこそ渋っていた、というかご主人様が一人で潰しに行きたがっていたのを抑えるのに大変だったのだが『私たち二人の成長を見て欲しい』と伝えた結果、ご主人様はしぶしぶといった感じで承諾してくれたので私たちの粘り勝ちである。


 なんだかんだで奴隷には優しいご主人様なのだが、そこに付け込んで勝ち取った成果であると思うと少しばかり心が痛むのだが、それも全ては私たちの事を異性として見て欲しいという想いからの行動であるので仕方がなかったのだ。


「では、そろそろ行きましょうか。リリアナ」

「えぇ、そうですわね。 これで少しはわたくしたちの事を異性として見ていただければいいのだけれども……まぁ最悪夜這いをすれば良いだけですわ」


 そして私たちは帝国の裏の組織の一つ【粛清する影】を潰しをこれから行う為に黒装束に黒い仮面をつけ、ご主人様の住んでいる別邸の屋根に立っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る