第102話 いい気味である
どうせならばこいつらを使って帝国に対して一矢報いる事はできないものか。
そう考えた時に、私は閃いたのである。
こいつらをただ悪戯に殺して、無駄に消費してしまうよりかは、魔術の実験台にして、新たな魔術開発する礎になって貰った方が、こいつらもきっと嬉しいだろう。
そもそも表の世界で生きていれば生きた人間で魔術の実験ができるというのは難しく、裏の世界で生きて来たとしても、何の罪もない人々を実験台に使うのは心情的にきついものがあるという事を考えれば、まさに命を有効活用できゴミ共を片付けることもできる為一石二鳥だろう。
「た、助けてくれるのか……?」
「は? そんな訳ないじゃない。ただ殺すのは勿体ないから今から魔術の実験に使うだけよ。たしか禁術のなかに生贄の数だけ行使できる魔術があるからその使用可能回数を増やす為にアンタの命を使わせてもらうと思っただけよ。 後は、今行使している回復魔術は研究中でまだ人には使っていないのだけれど、この回復魔術を人に使ったらどうなるのかというのも見ておきたくてね。これならば生贄の準備している間もアンタを殺さずに生かしながら魔術の実験ができる。アンタの命を少したりとも無駄にしない効率的な方法を思いつける私って頭良いと思わない?」
そうと決まれば早速私はコイツに対して今開発中の回復魔術を行使すると、自分を助ける為に私がわざわざ回復魔術を行使していると勘違いしたのか、助かったかのような安堵の表情を浮かべるではないか。
そんな表情を見てしまうと、一度助かったと思った者が、それが自分の勘違いであったと知った時の表情を見てみたくなるので、私は早速コイツにネタばらしをしてあげる。
こいつは既にギリギリの精神状態だったのだろう。
私がネタばらしをしてあげると声にならない声を上げて頭を掻きむしり始めるではないか。
うん、いい気味である。
正直言うとこいつがやってきた事の内容を鑑みるとまだまだ拷問は足りないくらいなのだが、コイツ一人に時間をかけても、他にも拷問対象者が控えているのでどこかで線引きはするべきだろう。
そんな事を思いながら私は生贄の準備を始める。
この準備も面倒くさいので、追々は短略化していけば良いだろう。
ちなみに新しく開発した回復魔術なのだが、確かに傷を回復させるスピードは早いのだが、行使されたこいつは白目を剥いて泡を吹き始めているので何しらがコイツの脳内に負荷をかけてしまったのだろう事が窺える。
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