第78話 おめでとう。ルドルフ君


 そう俺へと顔を真っ赤にし、唾を飛ばしながら激昂するルドルフなのだが、プライドが高い故に今までの流れで自分よりもルーカスの方が勝っていると考察できるだけの思考にはならないのだろう。


 むしろそもそも自分よりもルーカスの方が、魔術技術が上回っているという可能性をはじめから捨てているとも取れる。


「あぁそう。なら実際に喰らってみるか?」

「あ? 段位六以上の魔術を? お前が? この俺様ですらまだ行使できない段位六以上の魔術をお前ごとき雑魚が行使できる訳がないだろうが……っ!!」


 つい先ほど俺にボコボコにされ泣きながら『攻撃を止めろ』と泣き言をほざいていた人物から出る言葉とは思えず、二重人格では? と思ってしまうのだが、本来の能力以上にプライドが高い人物というのは、そもそも自分の今の立ち位置を客観的に見る事ができない為想像上の自分の能力と実際の能力とで乖離が産まれるのであって、こういうルドルフのような奴らは現実よりも想像上の『理想の自分像』が本来の自分の能力と本気で思っているのだろう。


 それが逆も然りで、自分よりも明らかに能力が上であるにも自分より下だと思っているのならば実際の能力差など関係なくソイツの中では、ソイツよりも下になるのだろう。

できないのであれば

 生きていくのが辛そうだな、と他人事ながら思ってしまうものの、実際に俺へと火の粉が飛んできてしまっている以上、分からせる事ができないのであれば自衛の為にルドルフの本能へ『ルーカスは自分よりも圧倒的に上の存在である』という事を強く刻み込む必要があるだろう。


 まぁ、それでも恨みを買ってやり返してくるのであれば、その精神力は買ってやるがその場合は冗談抜きでぶっ殺すのだが……。


「では、ルドルフ君に見せてあげようか。 とりあえず一旦段位十から行こうか」


 そして、優しい俺は今から行使する魔術の段位がどの位の魔術であるのかしっかりと説明してあげるのだが、段位十という言葉を聞いたルドルフはまるでバカを見るような表情になった後、耐え切れずに笑いだすではないか。


「ルーカス、お前は俺が思っている以上にバカだったんだなっ!! 段位七以上の魔術など所詮は御伽噺の中だけの存在であり実際にはこの世に段位七以上の魔術など竜種など天災級に位置付けられている存在以外行使する事ができないんだよっ! バカがっ!!」

「ならおめでとう。ルドルフ君、君はこの世界で初めて人類が段位七以上の魔術を行使するところを目視し、実際にその身でもって喰らう存在になる訳だ」


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81~83話 サポーター限定で更新いたします(本日4時までにはアップいたします)


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