第70話 バカなのはお前だろう?


 しかし、やはりというか何というか、相手はこういう行為をやり慣れているのであろう。


 録音できる魔道具で先程のやり取りを録音していたようである。


 当然相手の態度からして今回の問題である『偽物』だという発言部分は録音せずに、その後俺が言い返したところから録音をしいたのであろう。


 確かにそこから切り取って確認すれば、俺がルドルフに濡れ衣を着せようとしている風に聞こえてしまう可能性の方が高いだろう。


「録音魔球ねぇ……くだらない」

「お? 負け惜しみか? 早く土下座しろよ。 ど・げ・ざっ!! さっさとしろやボケがよぉっ!!」

「そういうお前は土下座しなくて良いのか?」

「あ? 何言ってんだお前。今自分が置かれている状況すら分からないくらいにバカだったのか?」

「今自分が置かれている状況が分からないくらいバカなのはお前だろう? あと、お前だけが証拠を持っていると思っているのならばバカすぎるだろう。こちらも公爵家を背負ってこの学園にきている以上、こういうトラブルを回避する為の自衛をしていない訳が無いだろう。お前みたいなバカが居るからな。あぁ、因みにお前は声だけかもしれないが、俺は映像と音声両方で証拠をとってあるから安心したまえ」


 そして俺は空気中の魔素を消費して半永久的に動くコンパクトカメラをストレージから取り出す。


 因みにこのコンパクトカメラの優れているところは魔素さえあれば半永久的に稼働できることは勿論、俺の記憶を映像データに変換して録画できる点である。


 勿論、これとは別にこのコンパクトカメラが証拠として立証できない場合を想定してこの世界に合わせて録音魔球でもしっかりと一部始終を録音しているので抜かりはない。


 まぁ、その録音された音声はコンパクトカメラでデータ化した映像から音声だけを抜き取った物をコピー、そしてこの録音魔球へとコピーした音声データをぶち込んだものなのだが、その過程などこの世界の技術では知る由もないだろうし、もし知ったとしても流石に映像でしっかりと証拠があり、クラスメイト達も野次馬として集まってきているのでこのコンパクトカメラに取り込んだ映像の信ぴょう性はかなり高い物として扱ってくれるだろう。


 そんな事を思いながら俺はコンパクトカメラを起動して取り込んだ映像を立体スクリーンで写し、ルドルフに観せてやる。


「な、何だこれはっ!? こ、こんな信ぴょう性のない物がしょ、証拠として使える訳がないだろうっ!!」

「あぁ、その場合はクラスメイト達にちゃんと証言してもらうつもりだし、誰が証拠がこれだけだと言った? ちゃんと録音魔球でも一部始終を録音してんだよ」

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