第69話 ぶっ潰されても文句は言えまい
「いや、何をもって俺を偽物とか言うんだ? 公爵家云々が偽物とか言いたいのか? しかしながら父親は正式な帝国の貴族だしちゃんと爵位も持っているんだが? それとも何か? 俺自身が偽物で本物のルーカスという男が他にいるとでも言いたいのか? それとも別の何かに対して偽物と言っているのか? であればお前が言う偽物とは何だ?」
「う、うるさいっ!! この俺に口答えするなっ!! 黙りやがれっ!!」
とりあえず、何に対して偽物であるのかはっきりさせたい為、ルドルフに確認するのだが、返って来た言葉は俺が期待した言葉ではなく、実に内容が無く酷い言葉であった。
「お前、分かっているのか? お前も貴族、それも親の爵位が公爵であるのならば今お前が俺に向けて放った『偽物』という言葉の重さを当然理解しているよな?」
「あ、え? そ、そんな言葉など言っていないっ!! 言いがかりは止めろっ!! むしろ嘘をでっち上げてこの俺に濡れ衣を着せようとするルーカス、お前の方がヤバいのではないかな?」
とりあえずルドルフは今自分が置かれている状況を全く理解できていないようなので、優しい俺は馬鹿でも分かりやすいように、俺に向けて放った『偽物』という言葉がどれだけ重い言葉であるのか理解しているのか確認してみると、そのヤバさに気付いたのか今さら『言っていない』などとはぐらかし始め、それだけならばまだ良かったのだが、今度は俺に向かってニヤニヤと見下すように気持ち悪い笑みを浮かべながら『噓をでっち上げてルドルフを陥れようとしているお前の方がヤバいだろう?』などと切り返してくるではないか。
ここで素直に謝罪していれば俺も大事にはしなかったのだが、流石にここまでコケにされてはぶっ潰されても文句は言えまい。
「なるほどなるほど。お前はそうやって都合が悪くなると書面で起こしていないのを良い事にすぐに嘘をついて、水掛け論へと持って行き自分の親の公爵という爵位の威を借りて相手の言論を封殺してきたのだろう。追い詰められた時にすぐそのようなゴミみたいな方法にスムーズに切り替えたあたり、初めてではないと思うんだが、どうせ相手の言論を封じただけで終わる筈がないよな? そのような方法で何人潰して来た?」
「いったい何のことか分からないなぁ。あぁ、因みに俺はお前が濡れ衣を着せようとした音声はしっかりとこの録音魔球という魔道具でしっかりと証拠を残しているからな。まぁ、土下座して金貨千枚を慰謝料で渡すってんなら、今回の事は水に流してやっても良いぞ? ん? どうする?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます