第68話 ため息を吐きたくなる一日の始まり

「あと、借金まみれだという嘘が広まったせいで周囲からこの俺を見てひそひそと話している奴らの視線をどうにかしたいから、そんな噂を払拭できるくらいの金銭的な援助をしてくれよっ!!」

「………あ、あぁ。そ、それに関してもパパがどうにかしてやろうっ!! …………闇ギルドから借金をまた借りて来るか……」


 後半ぶつぶつとまたもやパパは呟いていたのだが、そんな事などどうでも良く、パパが俺に金銭的な援助も今まで以上にしてくれる事が分かればそれで良いだろう。


 魔術師としても、そして金銭的にも俺の方がルーカスとかいうゴミよりも上だと学園のみんなが知れば、きっと立場は逆転するだろう。


「あらあらまぁまあっ! 可哀そうなルドルフちゃん……っ。 ママも何かできる事があれあば良いんだけれども、応援しかできないのは悲しいわぁっ。でも、何か欲しい物とかがあれば遠慮せずにちゃんとパパに言うのですよ?」

「はいママっ!! その時はしっかりとパパに相談しますっ!!」

「本当に、こんないい子に育ったルドルフちゃんをイジメるような者たちは一度痛い目を見ないといけませんねぇっ」

「でもママ悪い奴はルーカスただ一人でクラスの女子達はルーカスに騙されているだけなんだ。ちゃんと俺の方がルーカスよりも上だという事を証明してあげればクラスの女子達もきっと目を覚ましてくれるに違いないよっ!!」

「あら、ルドルフちゃんを裏切った女どもを許すだなんて、なんて優しい子に育ってくれたのでしょう……っ!!」


 ここ最近化粧と香水の匂いがきつくなって来たママが、部屋を香水と化粧の匂いで充満させながらやってくると、俺の事を心配してくれるではないか。


 こんなにも俺の事を思ってくれる息子思いのパパとママの事を傷つけたルーカスにはしっかりと痛い目を見てもらい、そしてアイツに騙されている女生徒達の目を覚まさせてやらなくては。



◆ルーカスside



「おいそこのゴミクズッ!! この俺と決闘しろっ!!」


 次の日、学園へと登校してクラスへと入った瞬間にこれである。


 ため息を吐きたくなる一日の始まりだ。


「あ? 決闘? 誰と誰が? まさか俺とお前が決闘するとは言わないよな?」

「はんっ、そうやってそれっぽい事を言って俺からの決闘を避けるという事はやっぱりお前は大した事がないんだなっ!! そんなハッタリがこの俺様に通用するとでも思ったかっ!! 所詮お前は偽物でしかないんだっ!!」


 さて、どっから突っ込めば良いのやら……。あと偽物というのも意味が分からないんだが……。

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