第64話 太っただけのゴミじゃねぇか

「あ? どうやって俺の攻撃を受け止めたのか分からないが、流石に二度三度と受け止める事はできないだろう? 変な薀蓄を垂れ流している間に俺に一撃でも攻撃を仕掛けた方が良かったんっじゃないのかっ!? そのお前の傲慢さが命取りだったなっ!! 馬鹿がようっ!!」


 確かに俺の一撃を止めた事は素直に褒めてやっても良いだろう。


 今までは例え止められたとしても相手の手が潰れていたりしたものだが、ここまで無傷に止められたのは初めてだしな。


 俺は敵だろうと褒めるべきところは素直に認める人間である。


 ここで認める事ができないような傲慢な奴から死んでいった。


 それだけ、この裏の世界は甘くないという事である。


 まぁ、そいつらは俺が全員殺して行ってやったんだがな。


 どいつもこいつも、俺の方が強いと言っても聞きやしない。


 自分の実力も測れないバカだったという事である。


 そんな奴は俺が手を下さなくとも遅かれ早かれ誰かしらに潰されていただろう。


 そして、話は戻すのだが俺の攻撃を耐えきった事は素直に褒めてやっても良いのだが、俺の攻撃を二度止めた者は一人もいなかったのである。


 しかし相手を認める事ができる俺は、もしかしたら目の前のコイツは二度三度と受けきる事ができるかもしれないと考えて片手ではなく両手の拳で二度三度ではなく十数回もの打撃を相手に打ち込む。


 しかし、いくら打撃を撃ち込もうとも人が潰れた感覚を感じることは無く、例えるのならば、まるで山を殴っているような感覚である。


「ぐ………っ、はぁ……はぁ……っ。…………あぐっ!?」


 そして、流石に息が続かず打撃を連打できなくなった俺は一度攻撃する事を止めると、両拳から強烈な痛みを感じるではないか。


「い、一体どうなってやがる……っ!? な、何にがどうなってやがる……っ!!」


 一体俺の拳に何が起きているのか確認する為一度確認してみると、俺の拳から血がぼたぼたと流れ落ちているではないか。


「何って、ただ受け流すのも芸が無いからチクチクと切り刻んでやっただけだが? というかお前の攻撃は欠伸あくびが出るくらいに遅すぎるんだよ。打撃の威力を上げる為に武術を学んでいるわけでもなく、素人同然な殴り方に、それ故に遅すぎる上に軌道も読みやすいパンチ。お前、裏社会舐めてんのか? 弱すぎるだろいくらなんでも、こんな奴でもそこそこ名の知れた組織のリーダーになれるんだから楽な世界だな。お前にはがっかりだよ。ただの太っただけのゴミじゃねぇか」

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