第63話 殺されるべきゴミクズ
「お前、今俺は最も大事な時間を過ごしているという事を理解した上でノックも無しに入って来たのか?」
「あ、いえ、そ、俺は理解しておりますが、今下で──」
「なら死ね」
知っていてノックも無しに入って来たというのであればどのような良い訳も通用しないので、バカな部下が言い終える前にぶん殴って頭を破裂させる。
「くそが……。今日はもうおしまいだな……。女は、勿体ないが殺すか」
「ひ……っ」
せっかく両想いになったところでお別れというのは可哀そうではあるものの、最後までできなかったという事はこいつと俺との相性は最悪という事でもあるのだろう。
こういう縁起が悪そうな女を娶るなど、俺からすればあり得ないしな。
「おいおい、せっかくお前のピンチを報せに来てくれたんだぞ? そんなお前思いの部下をわざわざ殺す必要もないんじゃないのか?」
「あ? 誰だお前……?」
そして俺が女を悲しみの中殺そうと決意したその時、聞き慣れない声が俺の行為に非難するような事を言ってくるではないか。
蝋燭しか明かりが無い中、目を凝らしてその声の主の顔を見てもそいつは黒い仮面を被っており誰か分からないではないか。
「あぁ、今から殺す相手に名前を教える必要などあると思うか? 馬鹿なのか、お前。 まぁ、バカだから自分を助けにきた部下を殺したんだろうけどな。ま、逆に殺しに来た部下とも知らずに受け入れた俺は更にバカだったのだろうが……」
最後の方は怒りで何を言っているのか理解できなかったのだが、俺を見下し馬鹿にするだけではなく、コイツはこの俺様を『殺すから名乗る必要は無い』などと抜かしたのだ。
先ほどの部下と同様に殺されるべきゴミクズである事は間違いない。
なので俺は口論をするのも面倒だと、そのまま拳を誰かも分からない相手の顔面に向かって振り抜こうとする。
しかし、俺が想像していた様に破裂音と共に頭が弾けることは起きず、俺よりも身長が低く、身体の線も細い貧弱な相手に俺の拳が片手で止められているではないか。
「お前は今までその二メートルを超えた身長と、纏った筋肉にそれを覆う脂肪、更にそれら全てがそのまま体重となり、ただ力を込めて殴るだけで相手を潰してこれたのだろう。その身体であれば少し身体強化を施すだけで文字通り鋼のような肉体になるだろうし、そうなれば並みの攻撃では弾かれるか攻撃した側の武器か身体が壊れてしまう、まさに敵無しの人生だったんだろうな。技術が一切ない雑な殴り方からもその事が窺えるな……」
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