第62話 生きていると実感する時
「では、行こう」
そして俺はそう言うと奴隷二人を伴って夜の帝都へと姿を消すのであった。
◆ヘンリーside
今俺の目の前には泣きわめく裸の女がベッドの上で俺に組み敷かれていた。
この時ほど俺が生きていると実感する時は無いと言えよう。
必死に抵抗するも、そんな事をしたところで俺から逃げられる訳もなく、泣いても喚いても助けなど来ない。
できる事と言えば俺の快楽を発散させる為の道具になる事だけである。
当然、快楽の道具に泣きわめかれるのは、まるで俺が無理やり犯しているように感じる為癇に障るので、こういう場合は拳で頬を何発かぶん殴ってやると、俺の力強さという魅力に女は皆黙ってくれる。
ちなみに泣きわめかない場合は、それはそれでテンションが上がらないので指の爪を一枚一枚はいでやったり、針を刺してやったりしてあげるわけだ。
最高の一夜をお互いに過ごすための努力は怠らない俺は、やはりそこら辺の男と違い女性にモテてしまうのだろう。
行為の後に結婚を申し込むと、どんな美女だろうと、婚約者がいようと、結婚相手がいようとも決まって二つ返事で了承してくれるのだから、俺という男の魅力は相当なものであろうという事が、彼女たちの反応から見ても窺える事ができる。
ただ残念な事に朝になると何故か死んでいたり、顔が醜く腫れ上がり、まるでオークかゴブリン、またはアンデットのような見た目に変わっているので思わずぶん殴ってしまい、次の瞬間にはトマトを潰したかのように破裂してしまう。
そもそも、この俺が娶ってやると言っているのだ。
その言葉に了承し、俺の妻になる事を選んだのであれば俺が起きる前にその醜く変化した顔をどうにかするのが妻としての役目であろう。
そんな当たり前の事も出来ないのであれば魔物と間違えられて殺されても仕方がない事だろう。
「うるさい。泣きわめくな」
そんな事を思いながら俺は鍛え上げた筋肉の上に脂肪を蓄えた肉体の下で泣きわく女の顔を軽く、一発殴ってやる。
すると女の歯が何本か折れたのか、カラカラと歯が転がる音が聞こえて来ると共に、女は俺の男らしさに惚れたのか黙ってくれるではないか。
さぁ、これから愛し合う二人は一つになる。
「ヘンリー様っ!! た、大変ですっ!!」
その瞬間、ノックも無しに入ってくる馬鹿のせいでムードは台無しである。
一気に気分は冷めて、代わりに怒りが込み上げてきた俺はベッドから降りると血相を変えて俺の方を見る部下へと歩いて近づく。
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