第43話 早いに越したことはない
「出迎えご苦労。後は奴隷達に俺の身の回りの事はやらせるのでとりあえず食事の準備と、それ以外はいつも通り別邸の清掃や庭の手入れなどを行ってくれ」
「かしこまりました」
そして別のメイドが俺の荷物を持とうとするので、それを手で阻止してサシャに荷物を渡し、普段から行っている仕事に戻るように指示を出す。
流石に前世の事があるので彼女たちには悪いのだが俺の身の回りの世話に関しては断らせてもらう。
それをどう受け取ったのか分からないのだがサシャとリリアナはどこか誇らしげにしていたので、彼女たちが誇らしく思うのであれば彼女たちに奴隷に任せても何も問題はないだろう。
そもそも今まで基本的には奴隷達二人とグウィバーに任せていたので、何も変わらないといえば変わらないのだが……。
そんな事を思いながら俺はメイド長に案内されて自室と向かうと、軽く身支度をして奴隷二人を伴い再度馬車へと乗り込み、帝都の冒険者ギルドへと向かう。
その理由はリリアナの滞在場所の変更手続きである。
今はタリム領での、リリアナ個人に対する指名依頼を断っている状態なので、これにより指名依頼も受け取れるようにする事が目的でもある。
別に後日でも構わないのだがこういうのは早いに越したことはないだろう。
「それにしても、やはり帝都というだけあってタリム領よりも人口が多く、発展しているようだな……」
「そう言えばご主人様は帝都は初めてでしょうか?」
そして移動中馬車の外を眺めながらぽつりと呟くと、サシャが話しかけて来る。
「そうだな……お父様は二か月に一回は行っているみたいなのだが、別段帝都に行ってみたいとも思わなかったので、ついて行こうとした事すらないな。多分連れて行って欲しいとお願いすればお父様の事だから連れて行ってくれたとは思うが……」
「もしルーカス様が帝都にいらしていれば、もしかすればわたくしと一度はお会いしていたかもしれませんわね」
「そうれもそうだね。そう言えばリリアナはお父様と何度か会った事があるとは言っていたけど、良く帝都に来ていたのか?」
「ルーカス様のお父様とは基本的にわたくしの元家族の家で開いたパーティーでお会いしていたのですが、帝都にも良く来ていたので、そこでも偶に会ったりとかはしておりましたわね……」
「元平民の私が言うのもなんですが、貴族は貴族で色々と大変そうなのが伝わってきます」
そんなこんなで軽く雑談をしていると、馬車はギルドに着いたようである。
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