第42話 泥船じゃない事を祈る
「きゅいきゅいっ!!」
うん、やっぱり娘さんの方がしっかりしているな……。
できた娘さんを見ると、ある意味で反面教師として役に立っているのかもしれないと思ってします。
「まぁ、そんな訳でグウィバーはここタリム領に残って、ちゃんと
「わ、わかりました……」
そして、流石に娘からも注意された事がショックだったのかグウィバーは涙を流しながらタリム領に残る事を了承してくれた。
「それに、俺が帰ってくる場所、そして故郷でもあるタリム領にグウィバーがいると安心して俺は帝都へ行くことができるしね。グウィバーがいればどんな魔獣が現れようとも脅威にはならないだろうしね」
「…………っ!! あ、当たり前ですっ!! 主様が戻って来るまで私たちの愛の巣となる土地であるここタリム領を絶対に守ってみせましょうともっ!!」
しかしながら責めるばかりも可哀そうだと思った俺は一応それっぽいフォローを入れておくのだが、何故か『タリム領を守ってくれる』というのが『俺とグウィバーの愛の巣を守る』に変わっているではないか。
しかしここで変に突っ込んでしまうとまた面倒臭い事になりかねないので俺はその事には敢えてスルーしてさっさと馬車に乗って帝都へと向かう事にする。
「守るといっても冒険者達の仕事まで奪ったらだめだからな?」
「任せてください、主様っ!! 大船に乗ったつもりでいてくれてかまいませんっ!!」
うん、それが泥船じゃない事を祈るよ。
「それと、お父様、お母様、行ってきます」
「ルーカスであれば何も心配する事は無いだろう。思う存分学園生活を楽しんでおいで」
「いい? 絶対に週一回は手紙を書くのよっ!? もし一度でも忘れたらグウィバーちゃんを帝都に向かわせるからねっ!!」
「そ、それは本当ですか、義理母さんっ!!」
そして俺は家族に見送られながらサシャ、リリアナと共に馬車へと乗り込み帝都にある帝国立魔術・騎士学園へと向かうのであった。
◆
「ここがクヴィスト家の、帝都にある別邸か……」
故郷であるタリム領を出発して数日、特にこれといった問題も無く俺たちはタリム領にあるクヴィスト家の別邸へと到着した。
この別邸なのだが基本的にはお父様が帝城に呼ばれたりした時に使用している建物である。
「ようこそお越しくださいました、ルーカス様」
そんな俺たちを、この別邸の離れで生活をしているメイドたちが出迎えてくれ、その中でメイド長であろう女性が挨拶をしてくれる。
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