第41話 き、きっと聞き間違いよねっ!?
ちなみにグウィバーとシュシュなのだが、タリム領を繁殖の地とする為に訪れ、領主であるお父様と契約を結んでいるという事に表向きはなっていたりする。
その為時たまグウィバーは竜の姿に戻り、シュシュと共に大空を散歩しているのだが、それがタリム領の新しい観光となっていたりする。
しかしながらそれはタリム領の話であり、領民にその事を説明しているからこそできる事であり、グウィバーが竜の姿で帝都まで行ったら色々と面倒くさい事が起こる事は容易に想像できてしまう。
その為、グウィバーの背中に乗って帝都まで行くのはそもそも選択肢から排除してあるし、その事については事前にグウィバーへと説明し『確かに小さき人の子たちからしたら私の姿は脅威に映ってしましょう』とかなんとか、少しばかり誇らしげに了承していたにも関わらず、出発する当日となるとこれである。
「というか、前回も説明したけど竜の姿で帝都に行ったら方々に迷惑をかけてしまうのでダメだろう……」
「で、では私も人の姿で帝都へ行けば問題ないですよねっ!?」
「そもそもグウィバーは娘であるシュシュの為に藁をも掴む気持ちで俺と従魔契約をしたのだから、せっかく傷も癒えているのならば親子で生活できる事を第一に考えるべきだろう? わざわざ母親であるグウィバーが娘を置いて帝都に同行するのはどうかと思うけど?」
「娘も連れて行けば良いでしょうっ!?」
「ではそれを実際に娘であるシュシュの顔を見て言ってみたらどうだ? 娘であるシュシュが了承すれば親子で一緒に帝都までくればいい」
「良いでしょう。この馬が引く馬車で移動するのは癪ではありますが、きっと娘も母親である私に賛同してくれるに決まってますっ!!」
とりあえず、これではらちが明かないと判断した俺はグウィバーの娘であるシュシュの了承を得たら同行を許可する旨を告げると、勝ち誇った表情をしてリリアナに抱きかかえられているシュシュの元へ向かうではないか。
いったい、その自信はどこから来るのだろうか? と思いつつも、成り行きを見守る事にする。
「シュシュ、話は聞いていたと思うけど──」
「……きゅいっ」
「──シュシュちゃんが了承してくれれば……そんなっ!? ダメって聞こえた気がしたのだけれど……き、きっと聞き間違いよねっ!? そうよねっ!? 」
「きゅいきゅいきゅいっ! きゅいきゅいきゅきゅいっ! きゅーいきゅいきゅいっ!!」
「私たちの恩人であり母さんの命の恩人であるルーカス様に迷惑をかけないで……母さんは大人しくタリム領に私と一緒に残って…、ですって……っ!?」
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