学園編

第40話 そりゃ嫌われるだろう……



◆主人公side



 グウィバーを従魔にしてから三年の月日が経った。


 俺は十五歳となり、ついに帝国立グルドニア魔術・騎士学園へと入学する事となった。


「ついにルーカスも十五歳となったか……あっという間だったな母さんっ」

「えぇそうねっ! こんなに小さかったルーカスが、今ではこんなに大きくなって……っ」


 そして今、俺は学園の制服に身を包んで両親の前で立たされており、さらに映像魔球で『カシャカシャ』と何枚も写真を撮りまくっている。


 正直写真なんか一枚で良いだろうと思うのだが、それを言うと優しい両親は俺に合わせて写真を撮る事を止めそうなので言わないでおく。


 やはりこういう子供の晴れ舞台というのは、両親にとってのイベントでもあるので、普段良くしてもらっている分、こんな時ぐらいは両親の好きなようにさせてあげようではないか。


「こんな低知能な動物に私の伴侶である主様を乗せた馬車を引かせるなど危なすぎますっ!! ここは私が竜の姿となり、屋形を背負って飛んで行きますっ!! いえ、行かせてくださいっ!! 私であればここタリム領から帝都などものの数時間でつきますっ!! そこの知能の低い馬などという四足歩行の動物は数日かかるんですよっ!?」


 そんな俺たちの横で、グウィバーが泣きながら馬車を引かせてほしい(実際には引くというよりかは馬車の屋形を背中に乗せて運ばせて欲しい)と懇願して来るのだが、ここは心を鬼にして無視一択である。


 というか、グウィバーと馬は相性が凄まじく悪いのだが、俺が馬に乗る度に嫉妬心を爆発させて、そうやって見下すような発言や態度をするから嫌われてしまっているだけではなかろうか?


 馬もやはりなんだかんだでそこそこ頭のいい生き物なので自分がバカにされているという事は気づいているのだろう。


 そりゃ嫌われるだろう……。


「ひひんっ」

「あっ!! この……っ! み、見ましたか主様っ!! この馬私に向かって煽るように鳴いてきましたよっ!! これ絶対に私の事を馬鹿にしてますっ!!」

「はいはい分かったから落ち着こうか。というかグウィバーは帝都に連れて行かないからここタリム領で大人しくしく娘と一緒に生活する事になっていただろう?」

「…………で、ですが……っ」


 流石にうるさいので無視もできなくなった俺は優しくグウィバーを宥める。


 これで数百年も生きているというのだからビックリである。


 むしろそんな母親を見て呆れたような表情をしている娘の小竜、シュシュ(リリアナが名付けた)の方が精神年齢は大人なのではなかろうかとすら思えて来る。

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