第38話 勿論わたくしもドン引きである
「………………嘘だと思っていたのですが、本当に治してしまわれるとは……。できたとしても呪いをほんの少しだけ弱めるくらいの事しかできないと思っていたのですが……確かにこれほどの力を持っているのならば従魔として契約して他言無用とさせる理由も理解できますね……」
そしてそれはグウィバーも同じだったらしく、表情が分かりにくい竜種にも関わらず手に取るように驚愕しているのが分かってしまう。
「とりあえず、これでもう命の心配はとりあえず無いだろう。後は俺たちに危害を加えなければ何も言わないから今まで通り家族水入らずで好きに生きて良い。従魔になったからと言って俺につき従う必要もない。さて、やる事もやったし帰るか」
とぅんく
そうルーカス様がグウィバーに告げた後、帰路につこうとするのだが、なんか物凄く大きな心臓の鼓動が聞こえた気がしたのだけれども気のせいだろうか?
「わかりました。私たち親子は好きに生きます。では、手始めに結婚というものを致しましょうか? 人の子というものは愛する伴侶を見つけると『結婚』というものをするのでしょう? 初めはそんな面倒くさい事の何が良いのか? 強い雄の遺伝子を残しさえすれば雄など捨て置けば良いと思っていたのですが、今ならばこの『結婚』というものの良さがわかりますっ!!」
そして目をハートにしてルーカス様へと求婚をしだすグウィバーに、ルーカス様はドン引きである。
勿論わたくしもドン引きである。
「いや、ちょっと待ってくれ。どうしてそうなる。というかお前には子供がいる時点で夫が別にいるのだろう? それってヤバいだろう、流石に。人としても竜としても」
流石のルーカス様もドン引きしつつしっかりと正論で反論で返すも、それを聞いた当のグウィバーは『なんだそんな事か』という表情で口を開く。
「どうして……そうですね、私を死の淵から救ってくださった時に『これは運命』だと確信しました。それと、私は処女ですっ!! 私たち竜種は一個体でも自分の分身体として子供を成す事ができるのですっ!! でなければただでさえ数が少なく雄雌関係なく会った瞬間から喧嘩ばかりしているような種族などとうの昔に滅んでおりますものっ!!」
そしてグウィバーは自信満々にそう答えるのだが、ルーカス様は先ほど以上にドン引きしている事にグウィバーは早く気付いた方が良いだろう。
ちなみに分身体といっていたはずの娘も、わたくしに抱きかかえられながらドン引きしている。
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