第30話 子供が作れない身体


「お、おい受付嬢っ!! こんな行為が許されても良いのかよっ!?」

「そうですね、ダメですね」


 そして件の男性はわたくしの回復系の魔弾によって傷口が治ったのかゆっくりと立ち上がると、わたくしではなく冒険者ギルドの受付嬢へとわたくしの行った行為について抗議するではないか。


 恐らく本能でわたくしには敵わないと思ってしまったのだろう。


「なら早くこいつを捕まえて俺たちに賠償させろやっ!!」

「…………何バカな事を言っているのですか? 許されない行為をしたのは嫌がる冒険者に対して悪質な絡みをした上に拒否されると激昂して剣を抜いた貴方達の方でしょう。その結果反撃されたのならば自業自得です。それと後であなたたちが行った違法行為による賠償金は冒険者ギルドに預けている貯金額から差し引かせてもらいますからね。そして万が一貯金額が賠償額に足りてない倍は、その分をギルドに支払うまでは冒険者カードを停止し、無効化させていただきますのでご了承のほど何卒よろしくお願いいたしますね」

「な……っ!?」

「あぁ、早速確認いたしましたら貯金額はほぼ無いようですので金貨三枚分丸々ギルドに支払うまでは停止させていただきますね」


 そして冒険者ギルドの受付嬢はとてもいい笑顔でそう件の男に告げるではないか。


「…………おい、お前。早くこの頭の悪い受付嬢へ『私とこの男性は知り合いであり、いつものじゃれ合ってただけ』だと説明をしろ……っ! さもないと──」

「あぁ、許さないだの覚えていろだの何だのとうるさいのであれば股間のようにその脳天を打ち抜いて差し上げますわよ?」

「ぐ…………っ」

「腐っても冒険者であれば股間一つで命拾いしたと思ってこの場から立ち去りなさいな。後、もしあなたたちが調子に乗った行為や迷惑行為をしていると言うのであれば、今度こそその脳天目掛けて撃ち込んで差し上げますわよ?」


 つくづく馬鹿としか言いようがないなと、わたくしはため息を吐く。


「…………ぐっ、ち、畜生がっ!! おらっ!! お前たち行くぞっ!!」

「あ? 俺たちお前のバカな行為で子供が作れない身体になったんだが」

「ギルドカードも停止させられた事についてどう落とし前つけてくれんだよ? あぁ?」

「そもそも俺お前の事前々から気に入らなかったんだよな」


 そして件の男性は捨て台詞を吐きながら近くにあった植木を蹴飛ばし外へ出ようとするのだが、今度は仲間から詰められ始めるではないか。


「もめるのはいいのだけれども、出入り口でやらないでくださるかしら? 控えめに言って邪魔ですわ」



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