第27話 ねっとりとした視線と下品な笑い声


 その分冒険稼業に必要な消耗品などを買いそろえる事ができるのだが、そもそもルーカス様から頂いた【拳銃式自動魔力転送媒体器】があるので消耗品の代表格であるポーションなども使う機会は殆どなく、あるとするならば途中で出会った怪我している冒険者などに使うくらいしか使い道が無かったりする。


 それでも万が一というの場合もあるのでポーションを始めとして状態異常回復薬は買い揃えているのだが、やはり回転率は良くない(良い事ではあるのだが)のでわたくしのギルドに預けているお金は貯まる一方であった。


 その為その貯まったお金を使ってご主人様に何かお礼としてプレゼントをしたいとは思っているのだが、一体何をプレゼントすれば良いのか分からずにモヤモヤしているというのが現状であった。


 流石にプレゼントならば金銭と違って受け取ってくれるとは思うのだが、やはりプレゼントをするのであれば喜ぶものをプレゼントしたい訳で。


 これがゴールド家の元家族、両親に兄ならばとりあえず高価なものであれば何でも喜ぶとは思うのでここまで悩む必要もなかっただろう。


 そもそもあの元家族たちは『価値があるもの』ではなくて『売られていた値段』で判断する為、それが例え価値が無い物であったとしても高値で売られていたのならば喜ぶような連中であり、その部分からも他人からどう見られるのかという見栄とプライドが大事なのであって、それに傷をつけてしまうわたくしは要らない存在であったのだろうと、今であればそう考察する事ができる。


 結局内面ではなくて外面でしか判断できない可哀そうな奴らだったのだ。


 そんな事を思いながらわたくしは仕事斡旋のファイルを冒険者ギルドの受付嬢と一緒に選んでいると、わたくしの背後からねっとりとした視線と下品な笑い声が聞こえて来るではないか。


 またか……。


 ここ最近はあまりそういう連中は見なくなってきたのだというのに、恐らくその事から見てもわたくしにそういう舐めた態度を取ってくる時点でよそから来たそこそこ強い調子に乗っている冒険者達だとみて良いだろう。


「では、そうですわね……今回はこの依頼を受けようと思うのですけれどもよろしいかしら?」

「はい、大丈夫でございます。そしていつもありがとうございますっ。ギルド職員としても、そして一市民としてもリリアナさんには感謝してますっ!!」

「いえ、お互い様ですわ。需要と供給というやつですわね」

「そう言っていただけるとこちらとしても助かりますっ」


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