第25話 拳銃式自動魔力転送媒体器
確かに、俺が逆の立場であったとしてもリリアナ程ではないが興奮していただろう。
それは子供時代に感じた誕生日やクリスマス前日の夜のような感じだったことだろう。
「とりあえず、今は興奮していて自分では大丈夫だと思っているのかもしれないが間違いなく身体には疲れが溜まっているからこの後はしっかりと休むようにな」
「分かりましたわっ!!」
しかしながら興奮して寝れていないというのは、本人が思っている以上に身体に疲れが溜まっているであろう事は間違いないので、と後でしっかりと休むように言うと、リリアナは元気よく了承してくれたのだが、恐らく分かっていないような気がする。というか間違いなく新しい武器を触り続け徹夜する未来が容易に想像でてしまう。
でもまぁ、それだけ喜んでくれたのならばそれはそれで貸し与える俺も嬉しいので注意はすれど命令はするつもりは無い。
「とりあえず、これからリリアナに貸し与える武器なのだが【拳銃式自動魔力転送媒体器】通称MTG(Magic Transfer Gun)だな。一応サシャに貸し与えている【魔力式装備鎧】と基本的な構造は同じなのだが、違うのはこれが装備型ではなくて銃型という事と、様々な銃に変形させて行使する事ができるという事と、保有魔力に余裕がある限り同時に三百挺まで複製して行使する事ができるものだ。勿論空気中の魔素を取り込んで使う事も出来るのだが、複製の場合は多くても三挺が限界だろう。そしてこの【拳銃式自動魔力転送媒体器】の利点なのだが魔力を弾丸にする為魔力が尽きるまで玉切れの心配も補充する必要もなく、何より魔力を込めているだけで使用できるという点である。まさに魔力保有量は多いが上手く扱う事ができないリリアナの為にある武器であると言えようっ!!」
「……銃、ですの……?」
「あぁ、そうか……。この世界には銃というものが無いのか……。そうだな、説明するよりも実際に使って見た方が早いだろう」
俺はストレージから【拳銃式自動魔力転送媒体器】取り出すとオタク特融の早口でこの武器の説明を始めるのだが、この世界にはまだ銃というものが無い事にリリアナの反応を見て気付く。
「では、まずはこのキューブにリリアナを登録するから、ナイフで血を一滴流してくれないか」
「わ、分かりましたわ……っ」
「登録完了を確認……っと。それではリリアナの魔力をこのキューブに注いでみてくれ」
そして俺は【拳銃式自動魔力転送媒体器】のキューブにリリアナが登録された事を確認すると、魔力を注ぐようにリリアナへ指示を出す。
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