第24話 隙あらば


 そういうお父様はかなり興奮しており、ゴールド家の事を良く思っていない事が窺えてくる。


「そんなにお父様はゴールド家が嫌いなのですか?」

「なんと言ったら良いものか……」


 なのでどう気に入らないのか気になった俺はお父様に聞いてみるのだが、お父様は口を濁しながらリリアナの方を見るではないか。


 そのお父様の反応を見てこの場にゴールド家の娘であったリリアナの事を思い出す。


 これに関しては怒られても仕方のないミスだろう。


「あ……ごめんなさいっ。配慮に欠けた質問でした……っ。リリアナも、申し訳ない……っ」

「別に構いませんわ。わたくしはそのゴールド家に捨てられた身ですし、正直な話今は恨んでおりますもの。なんなら一緒になって悪口を言いたいくらいですわっ!!」


 しかし、普通に最低な事を聞こうとした俺をリリアナは怒るどころか一緒になってゴールド家の悪口を言いたいと言うではないか。


 しかも、お世辞や冗談とかではなく本気で悪口を言いたい、吐き出したいと表情にでているので本気で言っている事が伝わってくる。


「ふむ、リリアナちゃんがそう言うのであれば、お父さんゴールド家の悪口言っちゃおっかな」

「是非申してくださいましっ!! ちなみにわたくしは『魔術が全て』だという価値観にうんざりしておりましたのっ!! だからこそ、わたくしは、わたくしの事を捨てた両親に『価値が無いと捨てた娘よりも下』だと見下してやるのが将来の夢ですわっ!! 夢のまま終わるのかと思っていたところでルーカス様に出会えた事で現実にできるかもしれないと、いまから胸が高鳴っておりますわっ!!」

「そうかそうかっ!! そもそもの話、例え不出来であったとしても自分の子供を捨てる時点であいつ等には人の血が流れていないのだよっ!! まぁ、俺の息子は天才だからなっ!! 大船に乗ったつもりでいてくれっ!!」


 そしてリリアナとお父様がゴールド家の悪口で盛り上がるのだが、とりあえず隙あらば息子自慢を語ろうとするのは地味に恥ずかしいのでどうにかして欲しいとは思うのであった。





「さて、昨日はよく寝られたかい? リリアナ」

「ご、ごめんなさい。ルーカス様が貸し与えてくださる武器が気になり過ぎてあまり寝られなかったですわ……。ですが、現在も興奮しておりますので眠くは無いですわねっ」


 翌日、俺はマリエル、サシャ、リリアナと共に家の裏庭へと来ていた。


 そして、リリアナの目が興奮しすぎて瞳孔が開き、キマッているように見るのだが、如何にゴールド家を憎んでいるのかが痛い程伝わってくる。

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