第19話 わたくし奴隷ですわよっ!?
「そ、その前に一つ聞いても良いかしら?」
「何だ?」
「……その、貴方……ルーカス様は……金持ちの商人の産まれとかかしら? 見るからに一般家庭ではないですわよね? あ、嫌なら説明しなくても大丈夫ですわよっ」
そう言いながらリリアナは周囲を見渡す。
「言ってなかったか? それはすまない。実は俺はクヴィスト家の長男でもある」
「…………クヴィスト家って、公爵家の……クヴィスト家ですの?」
「あぁ、お父様は公爵の爵位を持っているな。因みに俺のフルネームはルーカス・フォン・クヴィストという」
「…………っ」
そういえば俺もリリアナに引っ張られてしまったのか名前しか教えていない事を思い出したので、フルネームも込みで俺の親が爵位を持っている事を説明する。
するとリリアナはその事実を処理できないのか固まってしまうではないか。
「………………わたくしが元伯爵家だと知られた場合は平民や下の爵位の場合は委縮して奴隷にしてもらえないかもと隠していたわたくしの悩みは何だったのかしら……」
そして、リリアナは何やらぶつくさと喋り始めると、意を決したような表情をして俺を見つめてくるではないか。
「あ、あのっ! ルーカス様っ!!」
「うん? どうした? お風呂が苦手だとか? しかしこればかりは申し訳ないけどこれから毎日入ってもらうぞ?」
確かに、前世では雨があまり降らず乾燥して気温も比較的低い地域等は毎日身体を洗うという文化は少なく、洗っても湯船に浸からずシャワーだけというのも珍しくないと聞いたことがあるので、恐らくリリアナもそう思っている、またはお風呂自体が苦手だという可能性もある為先にその件は諦めてもらう。
「そ、そうではございませんわっ!! と、いうかお風呂に毎日入っても良いんですのっ!? わたくし奴隷ですわよっ!?」
「当たり前だろう? 汚くて臭い奴隷を横に置く場合と清潔な奴隷を横に置く場合どう考えても後者の方が他人から見ても『良い主』だと思われるだろうしな。他人の目と評価というのはバカにならないからな。あと、単純に俺が嫌だというのもある。」
しかしながら、どうやらそうではないらしく、毎日お風呂に入れると聞いたリリアナはパッと表情を輝かせながら本当かどうか確認してくるので、そうだと返す。
しかしながら、それではリリアナは何を決意したのであろうか?
「って、話が逸れてしまいましたわ……っ。わたくし、リリアナ・ドゥ・ゴールドは元伯爵家の娘でございましたの……っ!!」
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