第16話 不思議な気分である
そんな事を思っているとサシャが俺の手の甲に「誓いのキスを」などと言って軽く口づけをしてくる。
あぁ、これは大人になった時に思い返すと悶え苦しむレベルで黒歴史ではなかろうか? そして俺は今サシャの黒歴史に立ち会えていると思うとなんだか不思議な気分である。
「あ……っ。ご主人様にお伝えしなければならない事がございます……っ」
俺の手の甲にキスをし終えたサシャは中二病ムーブも一旦終えて冷静になったのか俺に伝えなければならない事を思い出したようである。
「どうした?」
「あ、はい。中に一人奴隷にされている少女が居ましたので救出してあげたいのですが……」
「分かった。とりあえず一度確認しようか」
そしてサシャ曰く今回の拠点の中に奴隷の少女いるので救出してほしいとの事なので確認しに行く事にする。
「…………誰ですの? 貴方もわたくしの身体が目的ですの? まぁ、わたくしにはそれくらいしか存在価値が無いんですもの……当たり前ですわよね。むしろまだわたくしには身体目当てとはいえ存在価値があるというだけでもありがたい事なのかも知れませんわね。でも貴方はまだ見た感じ子供だわ……あぁ、なるほど。わたくしを奴隷商に売りつけるのですのね。わたくしこれでもまだ男性経験はございませんので、中古になるとはいえ高く売れる筈ですわ。ですがわたくしは裏のルートで奴隷にされた身ですので売る時は気を付けた方が良いですわよ。下手したら売ったあなたが犯罪者として帝国に裁かれかねないもの……」
サシャに案内されながら洞窟の中を進んでいくと、金髪碧眼の、俺と同い年くらいであろうノーマンの少女が鎖に繋がれた状態でベッドの上にいるではないか。
その少女は俺の顔を見るなり俺がここへ来た理由を勝手に決めつけ、話し始める。そんな彼女の目に光は無く、全てに絶望しているように見えてしまうし、実際にそうなのだろう。
「そうだね……もし君がその方が、奴隷商に売られる方が良いというのであればそうしよう。しかしながら、もし復讐したい相手がいるのであれば、このまま俺の奴隷となるのであれば力を与えよう」
「……復讐、魅力的な言葉ですわね。ですが無駄ですわ……っ。どんなに復讐したい、見返してやりたいと思ったところでわたくしにはそれができる程の魔術の才能も、優秀なスキルも無いんですもの。そんな状態で鍛えた所で少しだけ力の強い女性程度で終わってしまいますわ」
そして、俺の問いかけに少女はぽつぽつと話すのだが、話の内容からして復讐したい相手はいるもののその力が無いという事が窺えて来る。
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