第6話 巡り廻って俺へと跳ね返ってくる
内装に関しては外装同様に豪華な造りになっており、この奴隷商がいかに儲けてきたのかという事が窺えて少しばかり嫌な気分になってしまう。
しかしながら俺は奴隷という存在を欲している内の一人であり、今から奴隷を購入してこの奴隷商へとお金を落とす以上、この奴隷商の事を悪く言う事などできよう筈がない。
その言葉は巡り廻って俺へと跳ね返ってくるのだから。
「奴隷商人という職業は嫌いですかね?」
そんな俺の雰囲気を感じ取ったのか、奴隷商人が俺へと話しかけてくる。
「すみません、顔に出ていましたか?」
「謝る必要はございませんよ。 部屋についてから自己紹介をと思っておりましたが今ここで名乗らせていただきますね。私はここの奴隷商のオーナーをしておりますトーマス・ウォーカーと申します」
そして、トーマスと名乗った奴隷商人は話し始める。
「こういうのには私も慣れておりますので。しかしながら、矛盾していると思われるかもしれませんが私はそういう人にこそ奴隷を購入して欲しいと思っております」
「……それはどうして?」
「それは、そういう価値観を持っている人は奴隷を人としてちゃんと認識しているからでございます。私たちも当然奴隷たちを物と思っておりませんし、この商売は人身売買であるという事から目を逸らさずにしっかりと受け止め、その事をプライドを持って商売をしておりますので。ですので万が一奴隷を販売した先の奴隷オーナーが、自身の奴隷へ非人道的な行為を行っているという事を確認した場合はしっかりと上へ報告していただき奴隷を回収させていただいております。しかしながら、奴隷商人全員が私のような考えでないのも確かで、歯がゆい日々を送っているのですが……」
「……なるほど、わざわざ教えてくれてありがとうございますっ」
そしてここのオーナーの話を聞いて俺は胸の中のつっかえが一つ取れたような気分になる。
そんなこんなで俺たちは客間に通され、一通り奴隷を購入する際の説明とここの禁止事項を聞いた後に、いよいよ売られている奴隷たちを見にいく事となる。
「ここに売られてくる子たちは、両親が育児放棄して日銭を稼ぐ為だけに売られてきたりした者たちが多く、保護の観点からも我々が丁重に扱い、そして最低限の常識を教えております」
そして今俺が見ている所は同い年の子供たちが売られている場所であり、子供たちの身体つきからしてもちゃんとご飯を食べており、痣などが無いところから見ても虐待などがされていない事が分かる。
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