第4話 奴隷を購入する

「何をしているのですかマイマスター。ちょっと胸が突っかかってしまっているようで……そのまま足を引っ張ってくれませんか? あ、エッチな事を考えていたでしょう? ダメですからね? スカートの中を覗いたりしたら。 あっ、ダメですマイマスターッ!! お尻を触らないでくださいっ!! って、何で押し込もうとしているのですかっ!! 感動の再会なのですから──」


 そして、この時の俺は無表情で人工知能であるマリエルをそのままストレージへと押し込んだ事は今でもはっきりと覚えている。





「何か考え事でしょうか? マイマスター」

「いや、お前とこの世界で再会した事を思い出していただけだ」

「あらあら、そんなに私のお尻の感触が良かったんですね。言ってくれればいつでもお尻を、いや胸だって、なんならそれ以上の事──」


 あれから六年が経ち、今日はお父様と一緒に領地視察へと向かう馬車の中である。


 外を眺めながら昔の思い出に耽っているとマリエルがセクハラをしてくるので俺はそのままストレージへとマリエルを仕舞う。


「しかし、いつみてもあれがゴーレムだというのが信じられないな……」


 そんなマリエルを見たお父様は未だにマリエルが人間ではない事に驚いているようである。


 因みに人工知能や自動修復機能搭載ロボットなどを説明するのも面倒くさいので一応マリエルの事はゴーレムだという事にしている。


 あながち間違いでは無いしな。


「そうですね。神からの贈り物ですから悪いゴーレムではないのですが、少し大人しくしてほしい限りです」

「確かに、お前は土魔術の神に愛されているのだろうが、それに胡坐をかかずにしっかりと日々鍛錬をしているお前だからこそ神もこの人の手には過ぎたる力をお与えになったのだろう。だからその力は人々の平和の為に使いなさい」

「はい、お父様っ」


 それと、一応色々と面倒くさいので『ものすご土魔術の才能がある』という事にしてその他諸々も誤魔化していたりする。


 この世界の魔術師がどの程度の強さかはまだ分からないのだが、お父様が俺の土魔術の才能については箝口令を使用人たちに敷いているので、俺の土魔術はそれをしなければならない程の強さなのだろう。


 とは言っても段位七の土魔術を見せただけなのだが、取り敢えず全属性の魔術を見せなくて良かったと思う。


 そんなこんなで領地の視察なのだが、当然それだけではなく俺の誕生日という事でプレゼントとして奴隷を購入しに来ており、俺からすれば奴隷を購入する事が本命であり領地視察はおまけである。

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