第67話 ボスキャラは?

 通路の奥から現われたのは、なんとアリシアだった。確かにレベル的には今までの魔物よりは高い。だが・・・


(普通ならボスキャラとして俺をうならせるような魔物を用意するだろう。キノコ怪人め。安易に済ませやがったな!)


 という感を抱かざるを得ない。だが油断はできない。アリシアはかなり強いのだ。ここは変身しなければならない。


「ラインマスク! 変身!」


 このダンジョンの中では天井が高くないから飛び上がることはできない。変身ポーズで即変身という変則的なパターンだ。


「天が知る。地が知る。人が知る。俺は正義の仮面。ラインマスク参上!」


 一応、名乗りも上げねばならない。そうしないと俺のテンションは上がらない。


(さてどうやっておとなしくさせようか・・・)


 操られているとはいえアリシアは仲間だ。本当に倒すわけにはいかない。動けなくするだけでいい。

 アリシアは短剣と扇で早速、攻撃を仕掛けてきた。なかなかの技のキレだ。俺も真剣に彼女の攻撃を避けねばならない。ペロも戦いに加わってきたが、アリシアは悠々といなしている。アリシアはキノコ怪人のカビによってパワーアップしているようだ。

 するとキノコ怪人の声が聞こえてきた。


「ふふふ。気づいたか。俺様のカビに侵された者は時間が過ぎるほどパワーを増していく。だがその体に負担がかかり3日で崩壊してしまうのだ」


 親切な奴だ。こんなことまで教えてくれるとは・・・。とにかく俺は早くアリシアを屈服させねばならない。


(確か・・・奴のカビは熱に弱かったな。)


 地上で戦ったキノコ怪人の分身(?)は燃えて消えていった。だがアリシアを燃やすわけにはいかない。こんな時はあの技しかない。


「ラインフィーバー!」


 全身にエネルギーを回して発熱させる技である。TVのラインマスクが怪人に凍らせられた時に使った。今回はこの技をアリシアの体を侵食したカビに対して使う。

 俺はアリシアの攻撃のすきをついて彼女をがっちり捕まえた。そして体の熱をアリシアに浴びせた。


「ああっ!」


 アリシアが悲鳴を上げた。体の中のカビが死滅していき、全身に激しい痛みが出ているのだ。これでカビを抑えられるが、完全に死滅させるまでは行いえない。やりすぎると正常な組織にまで障害が出てしまう。

 アリシアはガクンと失神した。戦闘不能になったようだ。俺はそこで彼女に熱を浴びせるのを止め、そっと床に寝かせた。完全にカビを取り除くためにはキノコ怪人を倒さねばならない。


「これでまずはよし」


 この階のボスキャラは倒した。すると床の一部が開いて地下に下りる階段が現れた。これで下の階に移動できる。俺はMP《マジックポイント》を節約するため、変身を解いた。


「まだ先は長い。だがみんなを助けるために向かうのみだ!」


 俺はそう言ってペロとともに地下1階に下りて行った。

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