第49話 ノエルの特訓日記

一日目・アレク理玖さんに鍛えられる事になってから一日目。今日は剣術を教えてもらったのだけど、今までに見た事が無いくらいの卓越……いや、超越した剣術だった。私も武術は人より何倍もできる方だと思っていたのだが、上には上が居たみたいだ。アレクさんは私が自身を越えられると信じているみたいだし、頑張らなくちゃ。


二日目・私の成長スピードは異常だと言われたのだけど……アレクさんの方が絶対に異常。見本に、と言われてアレクさんが空に斬撃を放ったのだけれど、雲が割れた。一直線だけ、雲が割れたのだ。アレクさんは魔力操作、魔力制御、並大抵の剣術があれば可能だと言っていた。このエルフは本気で何を言っているのかしら?並大抵の剣術で可能なのであれば世界中で溢れてるわよ、これ。多分、アレクさんは並大抵の基準が人と違ってると思うの。周りに優秀な人が沢山居たとか、そういうのかな。


三日目・今日はアレクさんと格闘技を教わりました。魔力や剣術が使えなくなった時、信じられるのは己の拳のみ、と言われたからです。……エルフって本来森に居ますよね?ずっと。そして同族とは争わない、というのは常識です。だったらどうしてアレクさんの我流の中には人を殺すのがあるのでしょう。アレクさん、強さだけじゃ無くてエルフという種族でも異常で異端なのでは?


四日目・あのエルフ、やっぱりおかしいのでは?一応私は転生者だけど……銃火器の構造なんて知らないよ。それなのに銃火器を造れるのは本当にどういう事なのだろうか。アレクさんは「僕の側近に銃火器を使う奴が居るからね。まあ、これも、側近が使う武器も魔力を使用するから完璧な銃火器じゃ無いけどね」と言っていたが、それでも異常だろう。


五日目・今日は散歩に行こうという事で禁忌地域の森から離れ、不死者の巣窟に出発しました。いや、改めて確認してもよく分からないや。未だに疑問も尽きないし。何でアレクさんは不死者の巣窟の主であり、不死者の王である浮舎ふしゃと友人関係なのが分からない。でも、納得できなくは無い。エルフって長命だから、で理解可能だから。でも、どうして禁忌地域の森から禁忌地域の不死者の巣窟に散歩しに行ったのだろうか。普通散歩とは禁忌地域の森の外に行かない?確かに不死者の巣窟も外だよ?けどさ、禁忌地域には行かないと思うじゃん。


六日目・禁忌地域の森だけでは強さが良く知れない、と言われて再び不死者の巣窟に来た。最初来た時は強烈な魔力に恐怖していたが、二度目は恐怖など無かった。気付いたのだ、隣に居るこのエルフの方が怖いという事に。魔力の量も使い方もアレクさんの方が上だ。このエルフ、割とマジで世界の最強格なのでは?あの禁忌地域の森でも王みたいな役割をしていたし。


七日目・不死者の巣窟、例えアレクさんに負けていたとしても、強さがバグってる連中には変わり無かった。私自身、武術の急成長だけでは無く、魔力の急成長も感じていた。いや、何方かと言えば魔力の方が感じれるだろう。アレクさんから「常に魔力操作、魔力制御をしといた方が良い。其方の方が強くなれるから」と言われており、常に魔力操作、魔力制御をしていたからだ。けれど、不死者達は私並みの魔力コントロールを見せていた。アレクさんや浮舎さんは上澄の上澄過ぎて参考にならなかったが、明確な上が見れた気がした。


五十六日目・久しぶりに日記を書いた。最近は特訓に熱中をしていた為、日記を書く時間が取れなかった。最近の進展と言えば、魔力のコントロール技術だろうか。魔力を使用する時に発生するロスを初期と比べて大幅に抑えれているという事だろう。不死者達には感謝しなくてはいけない。私を此処までの高みに到達させてくれたのだから。


五十七日目・今日、気づきました。あの不死者って不死者の巣窟で最底辺の強さをしているんですね。禁忌地域には化け物しか居ないの……?まあ、禁忌地域の王?主?が世界の最強格くらいの戦闘能力をしてるからね。しょうがないね!


六十四日目・不死者の巣窟には強さの階級があると教わりました。私が倒した不死者から。ちなみにその不死者は頭脳特化である為、強さとしては最底辺であるが、不死者としての格であれば上位になるらしい。あれが頭脳特化……?本当に死者の巣窟には化け物しか居ないらしい。そして用意された部屋に帰る途中、ちょこっと聞いたのだが、戦った不死者は制限された状態だったと聞いた。ええ、マジ…?


六十五日目・不死者としての格が下位と戦闘しに行きました。不死者としての格が下位の者からは、二つ名が王である浮舎から与えられるらしい。下位の不死者は【青海賭博ブルー・ギャンブル】らしい。これは……何ともまあ言いにくい二つ名である。しかし、強かった。パチンコにはまりそうな二つ名なのに強かったのだ。いや、自分の運に頼っているから強いのだ。豪運だから悪いのを引く機会が殆ど無い。何もできずにやられた。けど、次こそは私が勝ってみせる。

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