第3話

あれから、6年が経つ。

あの時の松井の話によると、山田は公安の保護プログラムで名前を変え、新しい戸籍が用意され、こちらの社会で生きていけるよう単位制の高校へ進み、普通の会社へ就職する事になるだろうという事だった。

公安の保護プログラムはそこまで面倒を見る。

陰から常に監視して身の安全も確保するという。

もはや私にはあの山田がどこで何をしているか知る由もないし、名前も変わっていれば調べる手立てさえない。

それでいいのだ。

今頃は普通の社会人となって、この社会に溶け込み、どこかでちゃんと生きているのだろう。本当に良かったと素直に思った。

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