通信兵

壁にはたくさんのモニターがあった。そのなかのひとつが、ある兵士ひとりを映していた。通信室を兼ねたドローンの操作室のなかだ。何人もの通信兵がそれを操っている。


「ブレイス曹長、こいつかね」

「は、マギアレス大佐」

「あの爆撃で生き残っていたやつがいたのか。まったく驚くべきことだな」


大佐は感慨深げにそのモニターに映っている兵を見つめた。


「こいつは負傷しているのか?」

「負傷の程度は軽微でしょう。わが方のドローンについてこられています。つかまってではありますが」

「ほう、そいつはすごいな。しかしよく素直にドローンについて来たな」

「もの好きなんでしょう」


そう言ってブレイス曹長は手の中にあるちいさなキュービーを握りしめた。


通信兵のブレイス曹長が見つめるモニターに友軍のヘリが映し出されたとき、女性下士官服のミシェーレ・ブレイスは深い安どのため息を…ついていた。


「生きていてくれたのね…あなた…」


そう囁いてミシェーレはまた強くキュービーを握りしめていた――


  


  短編 ひとりきりの戦場  おわり

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たったひとりの戦場 夏之ペンギン @natuno-penguin

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