隣の席の甲楽城さん、趣味が多すぎる

くうき

第1話あの、何でみじん切りしてるんでしょうか??

「ふんふんふ~ん♪」

「………(これ、どういうことなんだ?大喜利でも始まってる??)」


 俺、逸色颯斗いっしきはやとは今起こっている状況に頭を抱えざるを得なかった。


 新学期、それは出会いもある時間。特に学年が一つ上がるとクラス替えがあるからこそ、高校生活の楽しさがある。(個人差あり。)

俺もその楽しみを背負い新しいクラスに行った。そうすると、隣の席には可愛い子がいた。黒髪黒目のショートヘア。可愛さと美人を足した感じの美少女は明らかにクラスで注目の的になっていた。しかし、一部はヤバい奴を見るような眼で彼女を見ていた。

ただ、それは間違いじゃなかったのは少し後の話。


 始業式前のHRが始まった。大体、こんな時担任になる先生による始業式前のお話が始まるわけで………。


「………ん??な、なんか目が染みる。」


 俺は、少しだけ目がしゃばしゃばして周辺に辛みのある匂いが充満し始めていた。


「これ、なんだ??玉葱か??いやでも、ここ教室だし。」


 独り言を呟くと同時に周辺を見渡す。そして、右隣から小刻みに小気味いい音が鳴り響く。振り向いてみるとそこには。


「ふんふんふ~ん。」


 例の少女が玉葱をみじん切りしていた。いや、ナニコレ??わからん。何が起きてるんだ??



回想終了。


 これ、何が正解なんだ??よく分からん。と、とりあえず、話しかけてみるか。


「あ、あの~。すいません。何してるんですか??」

「………ん?見ての通り、玉葱のみじん切りだけど??」

「いや、分かるけど。今、HR…。」

「いやいや。何言ってるの?君。今の時間は何もないでしょ?」


 はぁ~。これ、俺選択ミスった?とか可能正大なことある??


「あと、名前で呼んでくれない??私には、甲楽城涼花かぶらきすずかって名前があるんです~。」

「いやいや。今名前は聞いてないわ!!」


「甲楽城!!逸色!!うるさいぞ!!お前ら後で生徒指導室に来い!!」

「「は、はい………。」」


結局、開幕初日俺は何故かクラスでヤバいヤツ認定を喰らった。玉葱みじん切りしてる甲楽城と同類とみなされて。


解せぬ………

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隣の席の甲楽城さん、趣味が多すぎる くうき @koooodai

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