第7話

 ヨシノの思いや辛さをオレがどれほど理解できているかは分からない。だが、ヨシノの思いを汲んでやりたい。遂げさせてやりたい。しかし、シャイニング・パルチザンの目指しているものとヨシノの思いには乖離がある。


 シャイニング・パルチザンが目指しているのは狩られる者の平穏だ。人間社会からも保護されないハゲの安全を奴等から勝ち取る為の交渉材料を得る事が当面の目標だ。そして、交渉材料とは情報。奴等のねぐらに忍び込んで交渉材料となる情報を得る為に、そのねぐらを知っているヨシノはオレ達にとってスペードのエースだ。


 だから、潜入作戦にはヨシノの参加が肝となる。でも、ねぐらに潜入したその後は組織とヨシノで目的がズレる。それは危険じゃないのか。特にヨシノが。


「オリジナルが言ったんだよ。『オレを殺してくれ』って」

「そうか」

「オリジナルは言ったんだよ。魂まで複製されている訳じゃないハズだって。クローンの魂はコピーされたものじゃないハズだって。だけど、あの人は全てのクローンの痛みを心に刻んでいるみたいだった。クローンの悲しみを全て受け止めているようだった。僕にはオリジナルの痛みをそのままに感じる事なんて出来なかったけど、僕の悲しみや苦しみはそのままにオリジナルに伝わっているようだった」

「うん」

「できるなら、ペットの全てを解放したい。でも、そんな事はムリだ。だから、せめて、僕のオリジナルを僕の手で殺してあげたい」

 ヨシノはそう、強く言った。潜入作戦の時にはオレがずっとコイツの横にいてやろう。オレに何が出来るかはまるで分からないが、ヨシノの横にいてやりたい。


「分かった。ヨシノのサポートをオレは全力でやる」

「ありがとう、オッサン」

「オマエね、こんな時くらいオッサンはやめろよ」

 オレはまだ三十代だ。ヨシノからすりゃあオッサンに違いないが。

「あぁ、そうだね。ありがとう。タカにい

 ヨシノは無邪気な笑顔を見せた。タカ兄という呼ばれ方はむず痒いが、案外気に入っている。

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