第15話 授業に参加
「さて。昨日説明したように、この学校はいくつかの必須授業のほかは、自分で学びたいものを選択する。気楽に聞こえるだろうが、その環境で『進級に値する実力』を身につけないと、いつまでも一年生。全てお膳立てしてくれる学校より、むしろ厳しいと言える。なにをしたいか、なにが自分に合っているか、よく考えて選んで欲しい……とはいえ、いきなり選べと言われても困るだろうから、今日は私と一緒に行動しよう」
「うん、よろしくね、アリア姉様!」
「ああ、可愛い。本当に可愛い」
ルイスは姉に連れられて、実地訓練授業に参加する。
先輩たちに交ざり、王都の外の森に行きモンスターと戦った。
「ファイヤーボール」
「あ、あんな初級魔法で地面を抉った!? なんてエグい魔力!」
「アイシクル」
「極太の氷柱が生えてきた! マジでっかい!」
「ライトニング」
「落雷で巨木が炭化しちゃった! もはや歩く天変地異。次はなにやってくれるんだろう……わくわく!」
ルイスがなにかするたび生徒も教師も驚いた。
期待されているのを感じて、ルイスは次々と魔法を放ってモンスターを蹴散らした。
が、ルイスの魔力にモンスターたちが怯えて逃げ出すようになり「これでは授業にならないから、あとは見学に徹してくれ」と教師に言われてしまう。
午後からは錬金術の授業だ。
アリアたちがポーション作りにいそしむのを見学する。
「みなさん上手になりましたね……って、ルイスくん、なにをしてるんですか!?」
「暇だったので端にあった鉄材と魔石の欠片で小さいリビングメイルを……駄目でしたか?」
「ただの鉄とはいえ学校のものなので使うときは教師の許可を……いえ、説教はあとです! 神業すぎるぅぅぅ!」
全長三十センチにも満たない、ロボットのプラモみたいな鎧。それが机の上を歩いているのを見て、教師は絶叫した
ルイスとしては水洗トイレを作るのに使った素材加工魔法を応用しただけで、そう難しいことをしたつもりはない。
だが生徒たちも集まってきて、目を丸くしてキャーキャー騒ぐ。
もはやポーション作りなど教師の頭からも消え去り、ルイスはリビングメイル作りの講師をする羽目になった。
そして各自が作ったリビングメイルを戦わせて遊んでいるうちに日が暮れ、いつの間にか下校時間である。
「いやぁ、素晴らしい授業だった。これは来ちゃうかもな、リビングメイルブーム」
校門に向かって歩きながら、アリアは実に満足そうに呟く。
「我もハマったぞ。けれど一勝もできなくて悔しい。次はもっと上手に作ってみせるぞ!」
「マーナガルムが上手になったら、私が誰にも勝てなくなるので自重してください」
「セレスティアも練習すればいいだろ!」
会話の通り、精霊二人もハマりつつある。
共通のブームに乗っかって、みんなで盛り上がる。まさにルイスがやりたかった学園生活だ。楽しくて頬が緩んでしまう。
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