第一章 黒き魔法
第一章 過去編 黒い刀
ラストサムライ、そう後世に語り継がれたと知ったのは、他の転生者に出会ってからだ
それはまた別の話、今から話すのは黒い騎士ことトシゾウとフレイアの出会いの話だ。
※
俺はあの時人生の最後を迎えたはず
体を起こすと妙な違和感を感じた。
「なんだこの体は俺の体じゃ無いみたいに軽い」体を動かしながらまるで空気を含んだように軽い感覚に驚く男
「あそこで姿を確認出来そうだな」と近くに泉のような場所を見つけそこに向かおうとした時、誰がに服の裾を掴まれる
誰だ!!と刀を抜く素振りをするが刀が無いことに気づいた、そして振り向いた側には1人の少女が怒った表情でこちらを睨んでいた。
「あんた!今どこに向かおうとした!」と俺を指差しながら言う
俺も面倒だなと思ったが「あそこの泉っぽいところに行こうとしてたところだ」とありのまま言ったら
「あの泉は駄目!他をあたりな!」と少しきつめに言ってくる少女、何故だ?ただの泉だろう?と疑問に思ったので、少女に何故駄目なのか質問した、するとあの泉には邪神の使っていたとする刀が封印されていると言うのだ
言い伝えや伝承話の類かと間には受けず、はいはいと適当に追い払おうとしたが、頑なに駄目!!行くな!!と俺のことを止めようとする
「分かった行くの止めるから」と言うと少女は絶対だよ!と念を押してきて何処かへと走り去っていった
走り去ったということは、向こうに人でも住んでいるのだろうか
そんなことを気にしながらも男は少女の忠告は無視して泉へ向かった
※
泉に近づき自分の姿を確認する、やはり全くの別人になっていたが年齢的には近い様相の男の姿だった
「生まれ変わったにしてはほぼ近そうな年齢に生まれ変わるってのも変な話だな」疑問を抱きつつも、もう一つ気になっていたことがある、体が軽い事だ
丁度泉の真ん中に小さく水がない場所がある、そこそこ距離があった
試しにあの場所までジャンプしてみるか
念の為少し助走をして迷いなく泉の上を飛ぶ
泉の真ん中の小さな陸地には剣が刺さっておりその刺さった部分から湧き水が溢れて左右に流れていた
見事に着地した、目の前には飛んだ時に見えた剣のようなもの
「刀か、丁度丸腰だったんだよな」そう言って迷いなく刀を握る
すると、刀を中心に泉全体に円状の魔法陣が出てくる
それに驚いた勢いで刀を引っこ抜いてしまう
すると湧き水が一気に噴射し男は飛ばされ、元の陸地に叩きつけられる
「痛ってぇ」と声を漏らしながら「刀はあるけど収める鞘がないな」と冷静になる
すると腰に無かったはずの鞘が現れる「丁度いい」とその鞘に刀を収める
そして何事も無かったかのように泉を後にした
※
「早く逃げなさい!」一緒に逃げようよ!そう言いたいが炎に包まれた魔獣が襲ってくる
これは夢よ!なんで何も無い村を魔獣が襲うの?
少女の目の前には真っ黒になった男女らしき2人が倒れていた、それを見つめながら涙を流す
お父さん…お母さん…
真後ろには先程の炎に包まれた魔獣が今にも飛びかかって来そうだった。
※
なんだ?焦げ臭いぞ
男は少女が走り去っていったであろう場所を歩き続けていた、その先には黒煙が立ち昇っていた。
「おいおい」男がたどり着いた先には火の海と化していた村らしき場所だった
そして大量の犬のような炎を身に纏った生き物の大群も見えた
「奴らの仕業か」そして先程手に入れた刀を抜き見つめた
この刀ならあの変な生き物を倒せるのではと
「まぁ、やってみればわかるか」と刀を片手に火の海の中へ入っていった
※
もう駄目だ、そう思っていた少女の目の前で炎の魔獣が引き裂かれる
真っ二つの魔獣の背後に立っていたのは先程森で出会った男だった
「何しに来たのよ!危ないから逃げなさいよ!」と少女がいうが「危ないのはそっちだろうが、助けたんだからお礼くらい言えよ」と分づき等棒に返答した
少女は小さくありがとうとつぶやき、男もおう、と言い争った割にはどちらも照れくさそうにやり取りする
だが、まだ魔獣の群れが大量に湧いて出てくる
「こいつら何処から出てくるんだ」と男が言うと少女の背後から
「私が召喚してるのですよ」とさっきまでいなかったピエロの様な男が少女の後ろに立っていた
そして少女の悲鳴と共にピエロは少女を抱え魔獣の群れに突っ込もうとしている
すると男は何故が一瞬でピエロの前に立っていた
「高速移動ですか、アナタ風の魔法が使えるのですね」とピエロが言う
「魔法?その変な犬と関係あるのか?」と男が答えると
「あなた魔法を知らないのですか?と言う事はこの世界の者ではありませんね?」と言った、どうやら魔法というものはこの世界では当たり前にあるもののようだ
するとピエロが男の刀を見て不敵な笑みを浮かべる
「まさか、あなた泉の邪神に選ばれたのですね」と刀を見ながらニッコリと笑いながら男に問いかける
「選ばれた?なんのことだ」と男が言うと
「やはりこの世界の者では無いだから邪神に呼び寄せられたということですね」と1人で納得して解決している
「勝手に納得してるんじゃねぇよ!その女の子を離せ!そもそも何者だお前は!」と怒鳴りピエロを睨みつける
するとピエロもそれもそうですね!みたいな怒鳴り声にも動じず、深くお辞儀をしながら
「これは失礼しました、私はゾルアの魔導書に選ばれし者ドウケと申します」とドウケは名乗った
名乗られたからにはこちらも名乗るのが礼儀と男も名乗る「ドウケさんどうもよ、俺の名はヒジカタトシゾウだぁ!」と名乗ったと同時にドウケの顔に拳をぶつける
咄嗟の事にドウケも反応出来ず直で喰らい、少女を手放す
痛いと叫ぶドウケ、その横で怯えて動けなくなっている少女を担ぐトシゾウ
「しっかり捕まってろ」とトシゾウの周りに風が囲い空に浮かんでいく
「貴様ぁ!」と叫ぶが手から本のような物が下に落ちる
しまったと思ったのか急いで本を回収しょうとするがトシゾウが空中から切り込んでくる
だがドウケは避ける本は近くの炎の魔物が日をつけ始める
「やめろぉ!それは貴重なゾルアの魔導書だぞ!」そんな言葉など届かなく本が炎に包まれる、そしてトシゾウが猛攻を仕掛けてくる
「アレ以外には魔導書持ってないのか?」と聞かれるがドウケは悔しそうな顔で
「ゾルアの魔導書さえ手元にあれば!」と怒鳴り散らす
どうやら強い魔導書以外は所持していない、強い力に溺れたタイプのようだ
「哀れだな」トシゾウがそうつぶやくが少女を抱えながらの戦闘は例え手ぶらのやつ相手でも危険、周りは火の海と炎の魔物だらけ
退散するかとトシゾウは泉に向かって空中移動した
「俺もずらかるか、目的は達成している」とドウケもその場を去ろうとしたがトシゾウの用には空中移動は出来ない
そしていつの間にか味方の炎の魔物に囲まれていた
「おい、まさかやめろよ…」逃場は無く冷や汗が止まらない
そして魔物達は一斉にドウケに向かって飛びかかった
※
少女は木陰で泣いていた、それもそうだ両親だけでなく故郷まで無くしたんだ
俺は黙ってそばにいた
黙ってな
※
月日はたった、あの後俺は少女フレイアを放っておけず王国の下町で2人で暮らしている
俺はこっそりあの村の近くの森に行っては修行をしていた、風魔法のコントロール、泉の邪神と呼ばれる剣の性質を知るために
そしてある日フレイアが修行にこっそりついて来ていた
俺は気づいていたが気づかないふりをしていつも通り修行していた
すると、隠れていたフレイアは出てきて
「トシゾウ!私にも剣技を教えて!」と大声で叫ぶ
俺はフレイアの前に立ち「俺の修行は厳しいぞ」と少し驚かせるつもりだった、そんな考えは辞めさせようそう思っていた
たが、少女は
「どんな辛いことだって着いていくわ!トシゾウ私はもう二度とあんな辛い思いはしたくないの!」フレイアの真っ直ぐな眼差しを見てトシゾウは負けたと言わんばかりに
「女だからって手は抜かないからな」とトシゾウが木刀をフレイアに渡す
これは王国聖騎士になるフレイアと転生者ヒジカタトシゾウの出会いの物語
第一章 続く
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