復讐の双剣ツインテール

ショコラス

序章 出会いと別れ

序章-1 最弱戦士ツインテール⁉

チャイムが鳴り響く、楽しく、笑って、可笑しくて


 そして現実はとても理不尽だ


 初の彼氏とのデートの日、私は道路で倒れていた。


 空が真っ赤でした。


 そして声がする。


「誰か!助けて!」助けてほしいのはこっちだよ


 彼が心配して私に声をかけてきている、とても慌てているが、私には近いのに遠く聞こえる。


 あぁ、もう駄目だ。



 ※



 顔を何かで叩かれてる気がする、ポフポフと綿のようなもので、そうボーとしてると

 獣のおしりが見えた。

「え?どういうこと⁉」飛び上がるように起きたら顔は獣のおしりに突撃

 獣のは狼のような様相をしており、怒ってるようだ

「ご、ごめんなさい〜」と弱々しく謝るが

 そんなもの獣には知ったことではない、思いっきり吠えられる。

 これは、逃げるしか無い!そう思い立ったら足が先に動いた、必死に逃げるが圧倒的に獣の方が速い

「おんどりゃぁーー」変な叫び声を立てながら必死に逃げた、逃げたが、回り込まれてた

 眼の前に威嚇しながらこちらを見る狼のような獣、そして怯える私

 そして獣は飛びかかって来た、もう駄目だ!そう思っていたが

「頭を下げろ!」と聞こえ咄嗟に頭を抑えて屈む、すると目の前で獣が真っ二つになる。

 そして私は何が起こったか理解が追いつかず動けずにいた、すると目の前に銀色の装甲に赤い生地が隙間から見える重装甲な騎士の女の人が立っていた

 そして私はその人を見た時状況のせいもあるかもしれない、でもとても見入ってしまった、風が強く吹いていて右と左にバランスよくまとめられた赤い髪がたなびく、私は騎士のお姉さんがとても凄い人に見えていた、これが憧れるということなのかもしれないです。



 ※



 私はこの世界に転生、つまり生まれ変わったようだ、自分自身の様相も変わっていた、青色の長い髪、年齢は転生前と多分変わらない高校生くらいだと思う

 そして、今いる場所は私を助けてくれた女騎士フレイアさんの家、私を助けた後一晩泊めてくれたのです。

「格好良かったな……」と小さく呟いたすると後から「そうかい?照れるねぇ〜!!」とフレイアさんが立っていた、その瞬間私は驚いてその場で尻もちをつく、フレイアさんが心配する中、私はずっとあたふたしてしまった。聞こえてたの〜恥ずかしい!そのでいっぱいでした。


 

「君は確か記憶喪失だったね」一応設定としてはそういう風にしている、記憶が無く森に迷っていたという感じだ、私も本当は前の世界で車に轢かれ異世界転生しましたと言いたいところだが、そんな事を言ったとしても、私でも信じない

「さて、記憶のない間君の名前をそろそろ教えて貰ってもいいかな?それともまだ名前も半信半疑かい?」そう名前だけは朧気だが覚えてると伝えてあったのだった、今の名前を名乗っても良いのか……この世界の事が分からないと、前の名前が通じるか不安だった、でも無いよりは多分良いのかもしれない、そう思い

「不知火 蒼空(しらぬい そら)です。」私のフルネームを名乗ったするとフレイアさんは

「シラヌイソラ、随分と長い名前だね」その言葉で察した、フレイアさんがフルネームを名乗らなかったのではなかったのか、この世界には名字の概念が無いのかもしれない、だがもう名乗ってしまった、どうしよう

「長い名前だと確かに名前かどうか半信半疑にもなるよな!よし!シラヌイソラだと長いからソラ!と読んでもよいか!」驚きの対応だった、もしかしたら長い名前自体はそう珍しい事では無いのかもしれない

 私も大丈夫ですとつい声を張って答えると、フレイアは大きく口を開け笑い緊張しなくてもいいんだぞ!と言いながら私の背中を叩く



 ※



「フレイアの件ですが、実力不足です今すぐ騎士をやめさせるべきです」と男性の騎士が言う

 いわゆるこの国の王宮の王室であろう場所で玉座に座る王様らしき人と男性騎士は一対一で話し合っていた

「フレイアは君が思うほど弱い騎士では無い」と王様は男性騎士の意見を否定した

 すると王室の扉が開きます1人の女性騎士が入ってくる

「私もアイゼンの意見には賛成です、前回の戦では彼女は仲間を危険に晒しました」と女性騎士は答えました、その言葉に王様は渋い顔をしながらも

「アザミもアイゼンも実力は確かだ、だが前回の戦ではお前たちは仲間を見捨てて独断で戦ったそうだな」

 すると2人は足手まといはいらないなどと自分が正しいなどの答えが帰って来るそれに対して王様は

「フレイアは1人君たちの部隊も指揮をしたらしいぞ」するとアザミが

「それはフレイアが1人では相手に勝てないからだ、弱いから他人の力に頼る、結果大勢の仲間が相手の謎の攻撃に巻き込まれ消息不明なのです」その答えに王様は頭を抱え大きくため息をつく

「お前たちがどれだけ愚かかよく分かった、君たちには騎士の団長を任せるわけにはいかぬ」

 その言葉に2人は納得いかないようで、反論するが

「今日はその顔も見たくないわ!出てゆけ!!」

 と部屋中に王様の怒鳴り声が響く

 それに怯んだ2人は部屋を出てゆく



 ※



「さて、買い出しに行こうではないか!」私に笑顔で話しかけるフレイア、私もフレイアさんとお出かけ出来る事が嬉しくて笑顔で返事をする


 街並みは賑わっておりまるでお祭りのようだ

 私だけ取り残されたようななんだろうこの感覚

 私はこの世界の人間では無い

 ではこの私と同い年であろうこの体は一体誰?


「どうした?ボーっとして」フレイアさんに話しかけられて我に帰る

 そして何かを察したようにフレイアが「記憶喪失は焦ると帰って戻りにくくなるぞ!焦らずゆっくりだ!」

 この言葉に罪悪感を覚えると共に心配してくれるフレイアさんに甘えてはいけないと決意が決まる



 そして買い出しの帰り道

「ソラ!素敵な街だろ!」と満面の笑みでフレイアは言う「はい!とてもいい街でした」と答えると

「私はずっと守ってきたこの国の騎士としてそして今がある」そう語るフレイアさんの目は真っ直ぐで言葉の一つ一つに重みも感じた。

 そんな雑談を交えながら歩いていたら、フレイアは急に顔つきが険しくなる

「ソラはここで待ってて!」と言って近くにあった裏路地に向かって走っていく

 突然のことで私も啞然としていたが気になってしまい、後を追いかけて行った

 これが悲劇の始まりとも知らず



 ※



 ぶつかり合う2人の女騎士

 片方は左右に髪を結ぶツインテールの騎士フレイア

 向かうは後ろに髪をまとめてるポニーテールの騎士アザミ

 そしてそれを眺めることしか出来ない少女ソラとソラを拘束する男の騎士アイゼン


 私が、追いかけたばかりにフレイアさんは本気を出せずにいる

 他にも人質はいた、この街の住人だろうか何故国を守る騎士がこんなことを……


 そして目の前が真っ赤に染まる


 私が追いかけなければ、男の騎士に捕まらなければ


 力があったら


 こんなことには




 ※




 目の前に倒れる人達、先程まで人質だった人達とフレイア

 そしてアイゼンはソラに向けて刀を振り下ろそうとしていた

 これが最後か……そう悟ったソラは目を瞑った


 だが何も起こらない、怖かったがゆっくりと目を開けると全身黒い鎧を身に纏った重装甲の騎士がアイゼンの体を真っ二つに切りさばいていた

 次々に起こる衝撃的な出来事に私は何もできず固まる

 そして黒い騎士はフレイアの事を見ていた

 そんな黒い騎士にアザミは「邪魔をするなぁ!」と怒鳴り声を上げランスの持ち手をクルッと回すと赤く光り持ちてからゆっくりと刀のような刃物が見えてくる

「そっちがその気なら俺も容赦はせぬ」と黒い騎士の持つ黒い刀が紫色に輝く

 そして2人は刀でぶつかり合う、が圧倒的に黒い騎士が押している、アザミは必死に叫び声を上げながら刀を振り回す

「その力を持っていながら何故こんな過ちを」そう呟いた黒い騎士にアザミは

「認めてもらえなかった、こんな強い力を持っていても国王陛下はフレイアのほうが強いと、私より弱いフレイアが聖騎士最弱と噂されるフレイアが何故だ!!」黒い騎士はアザミの言葉を聞いて呆れているのか、大きくため息を吐く

「貴様の強さというのは力を見せつけることか?」少し声色も低くなったような気がする、それと同時に殺気がこちらまで感じる

 アザミも怯えたような顔つきに変わり、後ずさる

「フレイアには人を守る力を教えてきた、それが弱者と言うならば、貴様は見る目が無い」刀を構え一瞬でアザミの首元に刀の刃を当てる

「罪を償え」と刃に力が入った、その瞬間黒い騎士の後方から光の玉のようなものがぶつかり黒い騎士は吹き飛ばされる「まだ仲間が居たか」そう思った黒い騎士はフレイアとソラを抱え走り去ろうとする

「逃げるなぁ!まだ私は負けてない!」とアザミは叫ぶが足が一歩も進まない、負けてないと繰り返し呟きながら膝から崩れ落ちる。




 ※



「助けて頂きありがとうございます」ソラは黒い騎士と意識のないフレイアと一緒に馬車に乗っていた

 黒い騎士はフレイアの容態をみるが「手遅れだったか」先程の戦いぶりとは違い弱々しく言う

 ソラも泣き崩れる、まだ会って数日だが目の前で命の恩人が亡くなるだなんて、これも

「私のせいだ、とでも言うのか少女よ」と見透かしたかのように黒い騎士が言う

「私がフレイアさんの言う事を聞かず着いていってしまったから」泣きながら言う後悔しても遅い、そればかりかこんな弱い自分が情けない

「確かに着いていってしまったのは君が悪いな、だがな……自分を攻めろとはフレイアは言ってないはずだ」黒い騎士はそういってソラの頭に手を置く

 ソラも溜まらず涙が出てきてひたすらごめんなさいと繰り返し言う

「フレイアは最後までお前を守ろうとした、全力を出せなかったのは人質を使った卑怯な真似をした奴らが悪い」そして黒い騎士は続けて

「少女よ、強くなりたいか」そう言われる、ソラもその言葉を聞いて戸惑うが

「私はフレイアさんに助けられました、恩返しがまだ出来てないです」とはっきりしない答えを出す、すると

「俺はお前さえ良ければフレイアと同じように人を守る戦い方を教えるつもりだ、フレイアが誰かをここまで面倒見るなんて始めてだからな」

 その言葉を聞いてえ?と声に出てしまうが、黒い騎士はフレイアを見つめながら

「誰とも関わらなかった、ただ守る戦い方が裏目に出てしまったと今回は思う」そう呟いた、その言葉には何か後悔や後ろめたさも感じた

「フレイアはきっとお前に可能性を感じたんだ、その証拠に」とソラにフレイアの持っていた刀を渡される

 赤い刀だその刀がたちまち青色に変化する、私は驚いて刀を落としてしまう。

「それが根拠だ、すまんな無茶な提案をして」と黒い騎士は諦めたような感じで話を中断しようとする

「勝手に提案して勝手にやめないでください!私はフレイアさんに恩返しがしたいです、それが例え過酷なことでも!」私はフレイアさんに小さくお辞儀し髪留めをゆっくり解く、そして2つの髪留めを左右1つづつ結ぶ

 そして落とした刀を拾い上げ

「私はシラヌイソラ!フレイアさんに命を救われ今があります、私はフレイアさんの意志を継ぎます!最弱だなんて呼ばせない!私は最強のツインテールの騎士ソラ!」左右のツインテールはバランス悪く髪もくしゃくしゃ、力も無いのか刀も震えながら必死に持っているように見える

 黒い騎士は「基礎から鍛え直さないとな…」そう言いながらも小声ですまない、ありがとう、と言った



 序章 完

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