目の前に居るから
天西 照実
目の前に居るから
「同じ夢を見るの。始まりはいつも同じ。この歌から始まる。歌っている人は、毎回違うんだけど」
正しいことは正しいままが真実だよね。
気持ちを上手に表現できない事もあるけど、事実をもっているのは自分だけ。
それが当たり前。誠意はどこかな。
時間がたっても事実は変化しない。
都合が悪くても過去は変化しない。
口先が真実を作る世界なら、
ポジティブにいくよ。さようなら。
彼女はリズムに合わせるように、体を左右に揺らして見せる。
「こんな歌をうたってからね。マンションから飛び降りたり、電車に飛び込んだり。死んじゃうの。初めは全く知らない子たちでさ。でも、どこかで見たことある人になってきて、それは感覚的にわかるの。だんだん、身近な人になっていく。次はもっと近しい人になるのか、いつか自分の番が来るのか。すごく怖い夢なんだよ」
そういって苦笑いを見せる彼女は、もう幽霊なんだ。
幽霊は怖くない。悲しい存在なんだよ。
世の中は、そんな悲しい存在を生み出し続けるんだね。
世の中なんて人は居ないけどさ。
さて僕は、なにが出来るだろう。
目の前に居るから 天西 照実 @amanishi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます